景気DI リーマン・ショック前に回復

2010年05月11日 11:00

 民間信用調査機関の帝国データバンクが行った4月の全国景気動向調査で、景気DIが30.7とリーマン・ショック前(2008年8月、30.3)の水準に回復したことが分かった。同社が5月10日発表した。

 帝国データバンクでは今後の景気動向について「中国やインドなどアジアの好調な外需によって、国内の生産活動は回復が続くとみられる。大手を中心に業績の上振れも目立っており、子ども手当や高校授業料の実質無償化などの家計支援、企業の低価格戦略の広がりも需要の底上げにつながることが期待される」と景気に対するプラス要因をあげた。

 一方で「企業の投資姿勢に大幅な改善が見込めず、雇用や所得面でも早期回復は期待できない。政局混迷や政策見通しの不透明さが家計の生活防衛意識緩和の妨げになっており、自律回復の動きが本格化する環境にない」と指摘。

 加えて、家電エコポイント制度の改定(2010年4月)、エコカー補助金の終了(同年9月)などによる政策の反動減のほか、新興国の需要増を背景とした原材料価格の上昇も大きな懸念材料になるとし、「国内景気は外需主導で回復が見込まれるものの、地域や業種間で格差拡大の可能性もある」と予断を許さない状況にあることを指摘している。

 この調査は2万1431社を対象に実施、1万772社から回答を得た。今年5月に実施した。景気DIが4ヶ月連続して改善した背景には「中国やインドなどアジアを中心とする需要増で生産活動の回復が続いたほか、エコポイント制度やエコカー減税・補助金などの政策的な消費喚起、緩やかな自律回復の動きにより、幅広い業界で改善傾向が続いたこと」をあげていた。
(編集担当:福角忠夫)