オリンパス <7733> と日本電気 <6701> (以下NEC)は、オリンパスが開発する次世代バーチャルスライド装置に、NECの病理画像診断支援システム技術を搭載した、新たな病理画像診断支援ソリューション製品を開発し、同製品の国内販売において協力することに合意した。
今回、両社が共同で開発するソリューション製品は、病理医が顕微鏡を用いて行っている病理画像診断を、デジタル技術を活用したシステムで支援するというものだ。現在、がんの早期発見技術の発展・普及、高齢化の影響等により、特に先進国でがんの病理診断数が増加傾向にある。しかし、その一方で病理診断を専門に行う病理医が全世界的で恒常的に不足していると指摘されている。そこで、より効率的に病理診断を行うために、デジタル技術やIT技術を用いた診断支援が求められていた。
オリンパスでは、これまでも光学顕微鏡メーカーとして光学技術とデジタル技術を生かし、スライドガラス標本全体またはその一部を高精細にデジタル化した画像を作成・保存するバーチャルスライド装置を開発・販売しているが、今回、より正確な画像診断を支援するシステムのハードウェアとして有用な、高精細なデジタル画像を提供する次世代バーチャルスライド装置を開発。また、NECの病理画像診断支援システム(ソフトウェア)は、画像認識技術、機械学習を用いて、デジタル化された病理組織画像中の組織および細胞の特徴から、がんと思われる領域の自動抽出、治療法選択のための免疫染色画像の特徴量計測などを高精度・高速に行うもので、本システムを用いることにより、病理診断の迅速化、追加チェックによる診断品質向上、病理診断の均一化の促進、最適治療方法選択における精度向上が期待できる。さらに現在、関連する様々な種類のデジタル画像への適合も検討しているという。
両社は今後、それぞれの強みである次世代バーチャルスライド装置と病理画像診断支援システムを融合させることで、病理診断の迅速化、より正確な診断の支援、病理医間のカンファレンスの促進、最適治療選択における病理診断の精度管理向上につながるソリューションの実現と日本の市場での早期の展開を目指す。
(編集担当:中里恵)