住宅大手の積水ハウスが建築廃棄物を再利用してグラウンド用の白線を開発

2010年04月16日 11:00

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積水ハウスの住宅建築現場から出るプラスターボードの端材と食品加工会社から集荷した卵殻を8:2の割合で配合・粉砕して製造する「プラタマパウダー」。粉の分散性が高く、炭酸カルシウム製の従来品に比べ、ラインをより長く、ムラなく引くことができる。

 積水ハウス <1928> は15日、住宅の建築現場で発生するプラスターボード(石膏ボード)の端材と卵殻をリサイクルし、グラウンドの白線用粉末「プラタマパウダー」を株式会社グリーンテクノ21(佐賀市)と共同で開発したと発表した。5月より積水ハウスの関東工場に併設する資源循環センター(茨城県古河市)で製造を開始する。

 プラスターボードとは、住宅の内壁や天井等の下地材として多く使われる建材のことで、一般には石膏ボードとも呼ばれている。積水ハウスでは、全国に6か所ある生産工場に資源循環センターを併設。住宅の施工現場で発生する廃棄物の回収から再資源化までを一元管理する資源循環システムを全国展開している。そのうちの1つである関東工場・資源循環センターでは、首都圏1都7県の建築現場から毎年4,000トン前後のプラスターボードが集荷されており、これまで年間5,000万円程度の費用をかけて石膏ボードの供給メーカーに処理を委託していた。

 今回、積水ハウスは同センターに「プラタマパウダー」専用の製造ラインを導入。グリーンテクノ21が食品加工会社から集荷した卵殻とプラスターボード端材を配合・粉砕し、製品化する。建築廃棄物をリサイクルして市販品として製品化するのは、積水ハウスにおいては初の試みで、年間約25万袋(約5,000トン)の出荷を見込むという。販売活動についてはグリーンテクノ21が行い、全国の小中学校や公共運動施設等で使用されるグラウンドの白線用粉末として5月下旬より販売を開始する。

 グラウンドの白線用粉末については、数年前まで消石灰がよく使われていた。しかし、強アルカリ性であるため皮膚炎を起こしたり、目に入ると粘膜を傷つけ、視力に影響を及ぼすこともあることから、2007年に文部科学省が全国の学校に対し、消石灰の使用自粛とより安全性の高いものへの切り替えを求める通知を出し、今では炭酸カルシウム製の製品が主流となっている。

 今回開発された「プラタマパウダー」は、ほぼ中性であるため人体や土壌にやさしく、しかも100%リサイクル製品としてエコマークの認定を取得したグリーン購入法適合商品であるため、今後使用する地方自治体や教育機関などが増えそうだ。

 積水ハウスではこの「プラタマパウダー」を、業界に先駆けて構築してきた資源循環システムの新たな展開の一つとして位置づけ、建築廃棄物のリサイクル促進とともに、教育現場での利用を通して子どもたちへの環境活動の啓発にもつなげていきたいとしている。
(編集担当;北尾準)