7~8月に本番を迎え、夏の代名詞ともいえるマリンレジャー。しかし、プレジャーボートによるクルージングなどは、船上での過ごしやすさから、秋口にも活況を呈するマリンレジャーである。このことを裏付けるかのように、国内ボート市場の54%を占め、シェア1位のヤマハ発動機が10月に入ってから相次いでボートの新製品の販売を開始している。
10月2日に発表された新製品はいずれもフィッシングボート。「SR-X F90」は、昨年7月の発売以来、斬新なデザインと優れた走行性能が好評の「SR-X」シリーズに、新たに90馬力の4ストローク船外機を搭載したもの。優れた加速性能と余裕あるスピード性能、リーズナブルな価格を高い次元でバランスさせており、フィッシングのみならず多様なマリンレジャーにも対応した製品となっている。
また、優れた乗り心地と高い風流れ抑止性能を発揮するフィッシングボート「F.A.S.T.(ファースト)26」 シリーズの3モデルも改良。後部デッキ両舷のデッキから舷までの高さを高めに設定しているほか、 サイドデッキまでカバーするロングタイプの大型バウレールを装備し、立ち姿勢での釣りや波浪中での前後デッキ間の移動時などの安定感・安心感を強化している。 さらに、クリートや収納スペースの増設などによりフィッシングボートとしての完成度をより追求したものとなっている。
レジャー白書2011によると、日本の余暇市場は平成8年の90兆9070億円から縮小が止まらず、平成20年には70兆円を割り込み、平成22年は前年比2.1%減の67兆9750億円。これと呼応するようにマリンレジャーの参加人口も半減している。一方で、この減少は下げ止まりを見せており、5~10mサイズの中・小型のプレジャーボートの新規登録が平成23年には増加へと転じ、この傾向は平成24年も継続している。
ヤマハの第2四半期決算によると、2009年のリーマンショックによる急激な落ち込み以降、マリン事業は順調に回復しつつある。この回復を軌道に乗せ、リーマンショック以前の水準まで市場を盛り上げることが出来るのか。今後の動向に注目が集まるところであろう。