建設業者 昨年度工事受注件数の約7割原価割れ

2009年12月07日 11:00

 建設業者が2008年度に請け負った総工事件数のうち、68.5%が原価割れしていることが国土交通省の「2008年度、建設業構造基本調査」で明らかになった。原価割れ工事の比率は前回(2005年度)の調査に比べ4.6ポイント増えており、しかも、40%を超えての原価割れも2.9%あり、業界の厳しさが改めて浮き彫りにされた。

 この調査は、同省が建設産業政策の基礎データとするため、1975年から3年毎に実施している。

 建設業の許可を受けている約52万社から2万2097社(個人事業者から資本金10億円以上の法人までを含む)を抽出し、昨年3月31日を基準日として、営業活動、取引関係、従業員の状況、建設機械・設備、組織化・事業の共同化、事業の再構築など8分野にわたって聴取。1万2293社から回答を得、このうち、兼業比率が2割を超える404社をデータ集計外として処理。1万1889社のデータをまとめた。

 それによると、1社あたりの平均経常利益額は790万円となり、3年前に比べ24.0%の大幅ダウンとなった。これを反映して、経常損失を抱える企業は19.7%と5社に1社が損失を抱えている。

 また、公共事業の減少に加え、民間の設備投資や住宅新築の低迷から、下請受注でしのぐ事業者が増加。全企業数の82.5%が下請受注を行っており、「仕事量の半分以上が下請工事」とする企業が51.9%と半数を超えた。3年前に比べ5%増えている。

 1社あたりの平均従業員数は15.7人となり、3年前より11.3%減少。常用雇用の現場労働者に対する賃金の支払い形態では日給月給が42.1%と最も多く、月払いの一定額は33.1%と3社に1社にすぎなかった。

 経営上の課題としては、88.9%が利益率の低下をあげ、79.5%が民間需要の減少をあげた。また、下請の仕事を反映して「コストダウン要請の高まり」をあげた企業も67.6%あった。
(編集担当:福角忠夫)