LTE時代に突入した携帯市場だが

2012年12月14日 08:55

 携帯電話冬の商戦は現在、真っ只中だが、NTTドコモから販売されているシャープの「IGZO」スマホが好調だ。BCNランキングによると12月3日~9日までの売上で同機種はトップ、9月から11月までのトータルではソフトバン、auの「iPhone5」が、トップから6位までを独占する状態だったが、ここに来てようやく巻き返しが始まる模様だ。そして、側面ではLTE時代の“覇権争いの激化”という見方もできる。

 NTTドコモは2012年の冬モデルに登場したスマホ全てが「Xi(クロッシィ)」に対応しており、“FOMA”以来の大規模な移行が本格的になった。だが、FOMAの時代と明らかに違うのはauやソフトバンクといった強力なライバル会社が存在しているということだ。各社ともLTEのサービスはもちろん行っており、現在ソフトバンクに買収されたイー・アクセスの「イー・モバイル」を入れると4つのキャリアでその市場を争っている。

 この4社の中で、最初にLTEサービスの提供を始めたNTTドコモだが、決して先行者利益とは言えない状況だ。TCA(電気通信事業者協会)によると12年10月末現在での携帯電話契約数累計はNTTドコモが約6,000万人、auが約3,600万人、ソフトバンクが約3,000万人となっており、確かにまだドコモの契約者数がトップであることは間違いない。だが、先日NTTドコモが発表した「Xi」契約数は700万件超えという決して少ない数字には聞こえないが、auとソフトバンクには「iPhone」というキラー端末が存在する。LTE端末契約者数の正式な発表がない両者だが、実際、「iPhonne5」はLTE通信にも対応し、テザリング機能も持っていた。また、「auの本気」とトップが語るように、今回のLTE市場への本格参戦には準備を怠らず臨んでいることが、基地局の整備や投入された端末全てがLTE対応機種ということから見ても分かる。そして、ソフトバンクはイー・モバイルの買収により通信環境を強固なものにした。それぞれの企業が、あらゆる力を出し尽くしそうな今回のLTE市場の競争は、間違いなく3巴の戦いと言っても過言ではない。

 そして、LTE市場のターニングポイントとしては、音声通話がLTE対応になった時だ。これは、7月に総務省も技術基準を策定しており、早ければ13年の夏モデルで各社が投入することも考えられる。

 完全LTE端末になった時に、どのキャリアが覇権を取るのかに興味は注がれるが、実はその前に各社が本当に開発を急がなければならない部分も存在しており、その一つが電池の消費量だ。前述のランキングで1位になったシャープのスマホは「IGZO」を採用し、“2日間もつ”というキャッチが消費者に強く響いたのは間違いない。高速通信などの高性能機種に進化していく過程で、基本性能をいかにアップさせるかも、各キャリアは求められている。ここを疎かにしては覇権争いに勝利することはできない。来年も続くLTE市場の激しいシェア争いからは当分目が離せそうもない。(編集担当:加藤隆文)