西村正紀会計検査院院長は11日、2008年度歳入歳出決算検査報告を鳩山由紀夫首相に手渡した。このうち、防衛省関係では、防衛省海上幕僚長あてに、アウトソーシング契約の契約方式について、競争性と透明性を高めるために、積極的に一般競争入札を増やすよう求めるとともに、入札条件や応募条件などが、必要以上に制限的なものにならないよう十分検討するよう強く求めた。予定価格の積算についても標準資料などをふまえ、作業報告書を提出させるなどして、作業実績を積算に反映させれば約1割削減できたとして、是正を求めている。
報告によると、会計検査院が2007年度、2008年度のアウトソーシング契約805件(契約金額15億7489万円、積算金額15億8850万円)について、検証した結果、標準資料や実例単価の適用、作業実績を反映させた修正計算では、積算金額で1億5740万円低減できた、としている。これは契約額の約1割に相当する。
また、805件のうち、一般競争入札は51件のみにとどまり、538件が公募。しかも、公募内容は「いずれも一般競争入札に移行することが適当と認められるものだった」としている。
応募者についても538件すべて、応募者は1社になっていた。この点について、会計検査院は「公募要項等の内容が行政補助的な業務であるにもかかわらず特殊な技術、設備等を応募条件としているものなどが多数見受けられたため」と指摘。業者を特定するような条件で、他を締め出すとも受け取れるような「公募とは名ばかり」の状況が浮き彫りになった。
さらに、805件の契約では、4社のうち3社については各会社の労務費などを基にした固有の時間単価を算定し、3社との契約では770件の契約のうち763件までが、固有単価をもとに予定価格を積算していた、としている。公募での契約に相手方を特定するような積算が行われていること事態、不透明極まりない契約といわれも仕方ない内容だった。新政権には大幅な改善が求められよう。
(編集担当:福角忠夫)