三井物産 <8031> は、社会的課題のひとつとなっている在日ブラジル人教育問題の解決を目的とし、8月から新たに「在日ブラジル人児童生徒に対する奨学金制度」を開始すると発表した。
在日ブラジル人のうち、義務教育年齢(5歳~14歳)の児童生徒は約3万人とされており、その約1/3が在日ブラジル人学校に通っていると言われている。しかし、世界同時不況の影響を受け、在日ブラジル人の雇用状況が厳しくなり、親が失職した児童生徒は学費の高い在日ブラジル学校を退学せざるを得なくなるケースが増えている。生徒数が減ることで閉校してしまう学校も出てきており、児童生徒の中には、ブラジルに帰国してしまう者や、日本の公立学校に編入できても日本語能力の問題から不就学になってしまう者も多くなっているという現状がある。
そこで、2005年度から在日ブラジル人児童への教育支援プログラムを行っている同社は、これまで実施していた学校への教育関連品(学校の施設、教材、教具)の支援から支援内容を変更。在日ブラジル児童生徒がブラジル人学校で従来通り継続して学べるように、月謝支援という直接的支援へと切り替えた。毎月100名の対象となる在日ブラジル人児童生徒に、一人当たり2万円/月の奨学金を支給するという。
同社は、日本とブラジル両国のパートナーシップをより発展させていくためには、身近な社会問題の解決に向けた取組みも重要だと考え、今回の奨学金制度以外にも様々な在日ブラジル人支援事業を進めている。こうした取組みの輪が社会全体に広がることで、問題解決に向けて大きく前進することを期待している。
(編集担当:北尾準)