山田養蜂場、CCD解決を目指し実践研究テーマを募集

2009年08月03日 11:00

 山田養蜂場は、世界的に問題となっているミツバチの大量失踪現象(CCD=Colony Collapse Disorder、蜂群崩壊症候群)および国内におけるミツバチ不足に関し、養蜂現場での解決を目指した実践的研究テーマを8月20日までみつばち健康科学研究所ホームページ内にて募集している。採用された研究テーマには300万円程度の助成金が支給される。

 CCDとは、アメリカで2006年頃から問題視されている、ミツバチが急にいなくなってしまう現象のこと。これは巣箱の中に女王蜂や幼児蜂を残したまま、蜂群の50%~90%のミツバチが短期間の間に激減し、その死骸が巣の中や近辺には見られないという不思議な現象である。一方日本では、イチゴ、メロン、スイカ、サクランボ、リンゴなどの花粉交配用の蜂が足りないという問題が起きている。

 現在、アメリカではCCDに関して様々な角度から研究が進められており、ウイルス説や電磁波説、遺伝子組み換え原因説、温暖化説、単一作物の受粉によるストレス説、農薬説、ミツバチヘギイタダニ説、これらの複合説など、様々な結果が次々と発表されているが、決定的な原因は未だ解明されていない。しかし、アーモンドなど単一作物だけを受粉し、巣箱をトラックに乗せて長距離移動する移動養蜂に特化した場所で起こる現象であることから、ストレス説や栄養の偏りが考えられている。

 日本においてもミツバチ不足に関して調査が進んでおり、そのひとつとして、女王蜂不足が挙げられている。イチゴやスイカなどの花粉媒介用には、大きな蜂群を分割したミツバチを使用する。しかし分割する前の蜂群には女王蜂は1匹しかいないため、分けた蜂群にはオーストラリアから輸入した女王蜂を補給していた。ところが、オーストラリアで蜂特有の病気である「ノゼマ病」が発生し、輸入がストップしたことで、ミツバチが不足するという自体に陥ってしまった。また、ミツバチに寄生する「ミツバチヘギイタダニ」により、多くが死滅してしまう場合もある。従来は一種類だけしか使用を認められていなかったが、その薬剤に対しダニが耐性を持ってしまい、効果が無くなってしまったことが、被害が拡大につながったとされている。今年ようやく新たな薬の使用が許可されたことで、一時的に被害は沈静化すると考えられるが、いずれこの薬に対してもダニが耐性を持つことを考えると、根本的解決とはならない。併せて、人間には害が少ないといわれるネオニコチノイド系の農薬や、チョーク病といわれるミツバチ特有の感染病が複合的に、ミツバチの健康状態に悪影響を及ばしているとも考えられている。このような感染病の蔓延を防ぐために、花粉交配の役目が終わった蜂群は焼却処理されてしまう。それと共に、経験によって培われる熟練の技術が必要とされる養蜂家が急激に減っていることも、ミツバチの減少に拍車をかける原因のひとつになっているようだ。日本国内の養蜂家はピーク時には3万人ほどいたが、現在では日本養蜂はちみつ協会の登録者数は2500人程度である。

 このような世界的に深刻な問題を一刻も早く解決し、今後CCDを発生させないためにも早急な対策を打つことが重要であると考える同社は、すでに第1回目の「山田養蜂場 みつばち研究助成基金」にて、アメリカのCCD及び国内のミツバチ減少問題の原因究明に着目した研究に助成を行っている。今回はさらにこの活動を活発にするためにも、原因を解明することはもちろん、対策方法を検証するまでを含む研究を世界に向けて公募することを決定した。