就職相談受けられる場所ほしい 高校中退ニート

2009年05月22日 11:00

 内閣府が高校中退者や中学3年生で不登校になった生徒を対象に高校生活や中学校生活に関する緊急のアンケート調査を行った結果の速報が公表された。

 高校中退者においては、現在、仕事に就いているとの回答が47・6%と最も多かった。また、17・3%は学校に通っており、仕事をしながら学校に通っているという人も8・3%あった。アンケートそのものが学校など協力の得られた地域で行われ、極めて限定されていることや1595人にアンケートした結果、168人からの回答にとどまっているなどから、参考資料としては精確さに課題が残るが、中退者の4人に1人は学校で学んでおり、2人に1人が職に就いて社会参加していた。一方で2割の人が仕事にも就かず学校にも行っていないニート状態にあり、これらの人が将来の生活設計のためにあればいいと希望しているものに「就職に関する相談を受けられるところ」を特に求めていることも浮き彫りになった。

 調査は今年2月から3月にかけて郵送方式により行われ、高校生活に関するアンケートでは平成16年度中に高校を中退した人を対象に実施。中学生生活に関するアンケートでは16年度中に中学3年で不登校になっていた480人に対して実施。109人から回答があった。

 このうち、高校生活に関するアンケートでは、学校で学んでいると回答した人のうち、27・9%は4年生大学に通っていた。通信制高校(41・9%)や定時制高校(14・0%)で高校課程を学び直ししている人も約半数にのぼった。一方、仕事に就いている人の仕事の形態では正社員は36・3%にとどまり、パート・アルバイト(41・2%)、派遣社員や契約社員(12・7%)といった非正規雇用での就業になっていた。自営主・自営業という人も2・9%あった。

 中学時代の欠席状況では55・4%が少しだけ休んだと回答。逆に3分の1くらい(13・7%)2分の1くらい(3・6%)ほとんど休んだ(7・1%)を合わせると、3分の1以上休んだ人は約4分の1になっていた。

 高校中退の理由については「高校の生活があわなかった」が49・4%と約半数を占めた。「人間関係がうまく保てなかった」(23・2%)「勉強がきらいだった」(20・8%)という回答も多かった。特に現在、ニート状態にある人では「人間関係がうまく保てなかった」(29・2%)「勉強がきらいだった」(29・2%)をあげる回答が全体値より上がっていた。

 これからの自分にとって大切なことでは「自分で働いて収入を得ようとすること」(47・0%)や「将来の希望を持つこと」(45・2%)が多かったが、ニート状態の人は特に、「自分で働いて収入を得ようとすること」(70・8%)、「将来の希望を持つこと」(66・7%)との回答が多く、将来への不安や現状を打破して、なんとか自立して生活できるようにしなければならないという意識の強さを窺わせる内容になっていた。また、不規則になりやすい生活リズムを改善しなければとの意識が反映されて「生活のリズムをつくること」を自分にとって大切なこととしてあげたニートが54・2%と全体値(33・9%)に比べ20・3ポイントも多かった。

 今後の生活設計のためにあれば良いと思うものでは全体では「技術や技能の習得を手助けしてくれるところ」が39・3%で最も多かったが、ニート状態にある人では58・3%が「就職に関する相談を受けられるところ」をあげ、就職活動への支援の重要さを裏付けた。
(情報提供:エコノミックニュース 編集:福角忠夫)