世界自然保護基金(WWF)は15日、狙った魚以外の魚や生物が網にかかる「混穫」の量が世界で年に3800万トンを越え、全漁獲量の約40%を占めるという調査結果を発表した。
今回の調査は、日本を含む世界23ヶ国の2000年~2003年の漁業関連データを中心に実施。世界のマグロ、サメ漁に関するデータに、過去の記録などを加え混穫量を推定した。その結果、対象にした漁業の年間総漁獲量約9520万トンのうち、3850万トン余りが「混穫」と見積もられた。これは総漁獲量の約40%。特に、近年問題視されているウミガメや海鳥などの「混穫」は考慮していないため、実際の混穫量はさらに多いと見られる。なかでも、「フカヒレ」として珍重されるサメ狙いの底引き網量に関しては、漁獲の90%以上が捨てられているというから驚きだ。
研究グループは「大量の混穫は、世界の漁業資源減少の一因であるため、減らす努力が急務」と指摘している。さらに同グループ所属のロビン・デービーズ博士も「政府や漁業者は混穫が少ない漁具の開発と普及に取り組むべきだ」とコメントしている。
この調査は底引き網漁を中心に行っており、はえ縄や刺し網などの他の漁法による混穫はほとんど含まれていない。その影響もあって、データは不十分だが、日本の推定混穫率は13%と世界平均よりも低い。そのため、日本人には「混穫」の認知度は低いが、デービーズ博士は「日本の消費者も、魚がどのように捕らえられているのかに関心を持って欲しい」とも話している。