「9割が公共工事の建設業であるが、受注するのがかなり難しい。受注してもほとんど利益が出ない。年度当初は特に資金繰りのため赤字の受注をしなくてはならない場合もあるが、赤字受注により、また資金繰りが厳しくなるという悪循環」「緊急保証制度を申し込んだが、保証協会の審査に時間がかかっている。直ぐにでも資金が必要な事業者が申し込んでいるのだから、早急に対応を」「中小企業の中には、一時的な融資を受ければ回復する場合があるので、金融機関は財務内容だけでなく経営者の経営理念や経営手腕などを重点項目として審査してもらいたい」など中小企業の厳しい資金繰り状況が中小企業庁と金融庁の合同による「中小企業金融に関する意見交換会」の報告から改めて浮き彫りになった。
意見交換会は昨年10月から今年2月まで、全国153箇所で中小企業者約1000社と直接行われてきたもので、両庁の報告では「資金繰りの悪化を指摘する声とともに、仕事が無いので借りるに借りられないとの声も多い」としているほか、「建設業者からは公共工事の減少、商店街の小売業者からは大手事業者の地域への進出等により、構造的に経営が厳しくなっているとの声も多数あった」という。
こうした中小企業への支援に向けた政府系金融機関への対応として「日本政策金融公庫のセーフティネット貸付を10兆円規模に拡充。特に業況の厳しい事業者に対して0・3%の金利引下げ、既存公庫融資の借換制度の導入」などの策をとっていることや「政府系金融機関の窓口での親身な相談や迅速な手続の徹底。赤字、債務超過などの形式的な事象でなく、中小企業の経営実態や特性を踏まえて融資判断をするよう要請している」としている。