国土交通省は昨年10月発生した大阪市内の個室ビデオ店火災を契機に、全国の特定行政庁に対し、個室ビデオ店をはじめ、カラオケボックス、漫画喫茶・インターネットカフェ、テレフォンクラブとして利用されている建物の防火面、避難面での建築基準法に照らした適合状況調査を行うよう指示し、これについてのこれまでの調査結果(12月31日現在)をまとめ、2月8日までに公表した。
その結果、個室ビデオ店では調査した810件中549件、67・8%に建築基準法令違反が見つかった。このうち、是正指導にもとづいて是正されたのは34件にとどまり、515件は今後、是正が必要な状態になっている。
法令違反の主なものは、非常用照明装置関係が479件で最も多く、排煙設備関係が341件、防火区画関係が136件、内装制限関係が74件、非常用進入口関係が63件、避難階段関係が35件、廊下の幅員関係が43件。いずれも、火災や地震など非常時に利用者の安全を確保するうえで欠かせないものだけに、即刻、改善されなければならない事項ばかりだった。
なお、カラオケボックスの場合では、5780件の点検の結果、1802件で法令違反が見つかり、221件が是正、1581件が今後、是正を要する状況。漫画喫茶・インターネットカフェでは2008件の調査の結果、912件で法令違反が見つかり、116件が是正し、796件が今後是正しなければならない状況。テレフォンクラブでは151件の調査の結果、93件で法令違反が見つかり、8件が是正、85件が今後、是正を必要としている。
昨年10月1日に大阪市浪速区内の個室ビデオ店で発生した火災は火元が同店利用客の客室であることが分かり、火元となった客室の男性が殺人と殺人未遂、放火の容疑で逮捕された。この火災で、店内にいた客ら15人以上が一酸化炭素中毒や気道熱傷などで死亡した。