今回のニュースのポイント
・名目と実質の差:テレビで報じられる「1ドル=〇〇円」という数字以上に、他国との物価差を考慮した「円の購買力」が低下している
・実質実効為替レートの低下:円の対外的な価値は1970年代並みの水準まで落ち込んでおり、これが輸入コスト増を増幅させている
・生活への浸透経路:実際の物価は為替に加え、原油・資源価格、国内の賃金・マージン調整などが複合的に絡み合って決定される
毎日のニュースで「1ドル=150円台」といった為替レートが報じられていますが、私たちが生活実感として受けるダメージは、実はこの数字だけでは説明できません。重要なのは、円という通貨が海外のモノやサービスに対して、どれだけの「買い取る力(購買力)」を保っているかという点です。
ここで注目すべき指標が実質実効為替レートです。これは、特定の相手国だけでなく多くの国との取引を考慮し、さらに各国の物価変動まで調整した「円の総合的な実力」を示すものです。現在、この数値は過去最低水準に近く、名目上のレート以上に、円が他国の通貨に対して弱くなっていることを示唆しています。
もっとも、私たちが直面している物価高やコスト増の要因は、この為替レート一つではありません。原油や天然ガスといった世界の商品市況の変動、そして国内での賃金・マージン調整といった複数の要素が重なり合うことで、最終的な価格が決まります。海外旅行や輸入品が割高に感じられる現状は、実質的な購買力の低下に加え、GDPシェアや生産性の伸び悩みといった日本の国際的な経済的地位の変化を映し出す一因となっている側面があります。
しかし、この構造を理解することは、いたずらに不安を募らせることではありません。円の購買力を維持するためには、日本全体の生産性を高め、外貨を稼ぐ力を再構築する必要があります。私たち個人にとっても、家計の資産を円だけで持つリスクや、物価変動の背景にある複合的な要因を冷静に見極めることで、より多角的な視点から将来の備えを考えるきっかけになります。(編集担当:エコノミックニュース編集部)













