日本薬剤師会と全国医薬品小売商業組合連合会、全日本薬種商協会、全国配置家庭薬協会、日本医薬品登録販売者協会、日本置き薬協会、日本チェーンドラッグストア協会、日本薬局協励会、日本薬業研修センターの薬業9団体は「一般用医薬品(大衆薬)のインターネットでの販売を禁止すべき」として11月28日に共同声明を出した。
一般用医薬品を安全かつ適正に使用してもらうためには、対面販売が必須で、国民の安心と安全を守るためにインターネット販売は禁止すべきとしている。
これに対し、厚生労働省では医薬品をリスクによって第1類(販売時に薬剤師の説明を義務づけた医薬品)、第2類(薬剤師や登録販売者に説明の努力義務を設けた医薬品)、第3類(購入者から求められない限り説明不要な医薬品)に分け、医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会がまとめた報告(第3類医薬品はインターネットでの販売を認めるのが適当とした報告)に沿った方向で省令を検討中だ。
また、規制改革会議は、省令によって制限する法的根拠は存在しない、として、すべての一般用医薬品の通信販売を認めるよう求めるとともに、「省令により、法律の想定を超えて国民の権利義務を制約することは法の授権範囲を超える違法な措置で、法治国家として許されるものではない」との見解を示している。このため、今回の薬業9団体の声明は、厚労省の省令づくりを後押しする格好になっている。
情勢では第3類については認める、第1類は認めないとの判断が確実で、第2類についての扱いが品目ごとに一定の基準で認可されるものと、されないものに分かれるのではないかとの観測もあり、厚労省の対応が注目されている。
■薬業9団体の共同声明文は以下の通り
一般用医薬品の販売制度を改正する薬事法は、平成21年6月より施行されることになっており、厚生労働省は政省令改正のためのパブリック・コメントの手続きをとり、既に意見募集を終了しています。医薬品販売制度の改正に向けての検討は、まず厚生労働省の医薬品販売制度検討部会において、平成16年5月より平成17年12月まで23回にわたって、すべて公開の場で実施され、平成18年には国会での議論を経て薬事法が改正され、その後再び公開の場(医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会)で具体的な取り扱いについて検討されてきました。この間、インターネットによる販売については、今回の薬事法改正の趣旨が「対面販売」を原則とするというものであることから、一部の医薬品に限定するとの理解のもとで一貫して議論が進んできました。
しかしながら、本年7月に厚生労働省の「医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会」が報告書をまとめたあとになって、規制改革会議や一部のインターネット販売業者から、すべての一般用医薬品をインターネットにより販売できるようにとの要求が強く打ち出されています。
医薬品は、安全にかつ適正に使用してもらうためには、対面販売が必須であります。私ども薬業に関係する団体は、国民の安心と安全を守るため、インターネットによる医薬品の販売を阻止することを明らかにし、ここに声明を発表致します。