プロポリスの起源植物として「ヌルデ」利用

2009年01月30日 11:00

 ローヤルゼリー・プロポリス等ミツバチ産品を製造・販売する株式会社山田養蜂場は、今回、同社養蜂部員である加藤学と、静岡県立大学 能澤茂則准教授、村瀬真代修士、玉川大学ミツバチ科学研究センター 中村純教授らとの研究によって、岡山県におけるプロポリスの起源植物として「ヌルデ」が利用されていることが明らかとなり、その研究成果が農芸化学雑誌(2008年8月号)に掲載されたことを報告した。

 プロポリスとは、セイヨウミツバチが植物の特定部位や分泌物を採取して巣に利用する樹脂性の天然物である。セイヨウミツバチは、このプロポリスを物理的と化学的の両面から巣の恒常性に役立てていると考えられている。人間は、古くから、これらを採取し、薬や健康食品として利用している。

 プロポリスの成分は、原料となっている植物(起源植物)の違いによるところが大きく、起源植物は世界から約80種類記録されている。現在、広く知られているプロポリスの代表的な起源植物は、ヨーロッパ原産のポプラ類と、ブラジル産のバッカリス。今回、岡山県岡山市建部町市場(たけべちょういちば)から採取されたプロポリスには、それらとは異なる起源植物「ヌルデ」が含まれていると考えた同社は、プロポリスの起源植物の探索をミツバチの行動観察と化学分析を駆使して行った。

 その結果から「ヌルデ」の樹脂に含まれる成分がプロポリスにも含まれていることが明らかになった。今回の研究発表は「ヌルデ」がプロポリスの起源植物となることを裏付ける世界で初めての報告である。「ヌルデ」の樹脂は、抗菌・抗酸化作用を持つことから生活用品や食品の添加剤などへの利用も期待できる。また、セイヨウミツバチの原産地であるヨーロッパやアフリカにはヌルデは分布しておらず、本来利用することのできなかったヌルデを何故、起源植物として選択しているのか全く分かっていない。今回の報告は、今後、セイヨウミツバチが何を手がかりにしてプロポリスを集めているのかを知る一助になるかもしれない。