日立製作所は、超音波を用いて金属などを切断することなく、内部の状態を三次元で鮮明に映像化できる「三次元超音波探傷システム」を開発した。きょう、7月10日から開催される日本保全学会学術講演会で発表する。
このシステムは、高感度の超音波送受信回路を256チャンネル用いて、三次元で超音波ビームを走査することにより、数秒で厚さ200ミリメートル程度のものを三次元映像として表示することを可能にする。これにより、二次元で超音波ビームを走査して複数の画像から検査物を評価する従来の方式よりもスピーディーに、金属などの内部全体を一括して検査することができる。同社では「このシステムを発電プラントにおける配管の保守作業などに利用していく予定」という。
超音波探傷技術は金属などの検査物の中に入射した超音波の反射を用いて、ものを切断することなく内部の傷などを検査する技術。「三次元超音波探傷システム」 では、検査対象に合わせた任意の三次元走査が可能で、特定の領域だけを検査して三次元映像化することもできる。また、3D-CADなどの設計データと同時に表示することができるため、複雑形状の検査対象でも、傷の位置や寸法を容易に評価することが可能。一点に集束する超音波ビームを用いるため、従来の「フェーズドアレイ法」に比べ、検査精度も向上する。