厚生労働省は北海道洞爺湖サミットに先駆けて新潟県で開催された「G8労働大臣会合2008」の議長総括などを公表した。その内容は「グローバル化と長寿化を背景に、個人の人生の充実を図るための方策を議論。G8各国の経済・生活は平均としては高水準であるものの、一方では格差が拡大していることから、平均像ではなく個別の労働者1人ひとりに着目した対応が必要という点で合意」したとしている。その上で、「現下の経済情勢、金融市場の動向、労働分配率の低下等を踏まえ、生活・賃金水準や格差解消が課題であることが示された」としている。
加えて、環境問題に関係した労働市場・雇用政策については「気候変動による労働移動に対応すること、環境に優しい技術革新に対応できる能力開発を進めることについて合意するとともに、各職場において労使が協力して環境に優しい働き方を促進するとの新潟宣言を行った」。
また、長寿化と調和したバランスよい人生の実現を議題とした議論では「労働者個人に対する取り組みとして、仕事と生活の調和、労働安全衛生、生涯キャリア形成の重要性を認識した」としている。また、労働弱者・地域間格差に対する政策的寄与については「労働市場・雇用政策の使命は労働弱者や雇用情勢の悪い地域への支援であることについて意見が一致。このため、労働市場の需給調整機能を果たす組織を全国ネットワークとして維持すること、全ての人々に職業能力開発の機会を保障することの必要性について意見が一致した」。持続可能なグローバル社会への課題とG8の貢献に関する視点では「経済的発展、社会的発展、環境保護の3要素が柱になるとの認識のもと、グローバル社会が直面する諸課題に共に取り組むことを確認。ILOのグリーン・ジョブ・イニシアティブに注目するとともに、ディーセント・ワークの推進やグローバル化の社会的側面に取り組むドレスデンG8労働大臣会合及びハイリゲンダムサミットの成果を確認。とりわけ、環境問題に対応した労働政策の遂行をG8の枠組みでは初めて取り上げた」などを今回のG8労働大臣会合のポイントとしている。
G8労働大臣会合はG8(米、英、仏、独、伊、加、露、日)の労働・雇用担当大臣、EU(欧州連合)の雇用・社会問題・機会均等担当委員、ILO(国際労働機関)及びOECD(経済協力開発機構)の代表者をメンバーとして、先進各国に共通する労働問題について討議する場として、年1回サミット開催国で開催される。