防衛省は、アメリカ側から約8000人の在沖縄アメリカ海兵隊(第3海兵機動展開部隊)の要員とその家族約9000人を2014年までにグアムに移転するプランの実現に向けたマスタープラン素案を示されたのを受け、その概要を公表した。マスタープランはグアムに移転する海兵隊に限らず、空母の一時寄港用埠頭をはじめ空軍基地能力の拡張などグアムで今後必要となる施設やインフラの詳細な配置を定めるグアム米軍基地全体のあり方を予定するもので、防衛省は「米国側からは、環境影響評価手続きが終了した後、最終的なマスタープランが確定することになっており、変更がありえる旨の説明があった」と報告している。最終案は2009年末に作成され、2010年にマスタープランが確定する運びという。
日本は沖縄在中のアメリカ海兵隊のグアム移転に伴い、グアムでの司令部庁舎や隊舎、学校などの生活関連施設に28億ドルを上限に財政支出するほか、家族住宅に15億ドルを出資、6億3000万ドルを融資などで予定。また、電気や上下水道、廃棄物処理などのインフラ整備に7億4000万ドルを融資などで準備する。これにより、グアム移転に伴う施設やインフラ整備にかかるとされる102億7000万ドルのうち、60億9000万ドルを日本が分担することになる。防衛省は「家族住宅の出資や融資は米国が支払う家賃や使用料により将来、回収される」とするとともに「102億7000万ドルには沖縄からグアムへの海兵隊の移動経費やグアムでの海兵隊の活動経費は入っていない」としている。
示されたマスタープラン素案によると、司令部機能や隊舎、生活関連施設はグアムの海軍コンピュータ・通信基地フィネガヤン地区に配置し、家族住宅などは同フィネガヤン地区とフィネガヤン南部に設ける予定になっている。また、実弾射撃を含む海兵隊訓練地区はアンダーセン空軍基地南部に。航空機能はアンダーセン空軍基地北部ランプに。海兵隊支援施設はグアム海軍基地内アプラ港に設けるとしている。