注目される国家公務員制度改革基本法案の行方

2008年05月16日 11:00

 内閣人事庁の設置や国家公務員制度改革推進本部の設置、各府省に国会議員への政策説明や政務に関し大臣を補佐する政務専門官を置き、それ以外の職員の国会議員への接触に関して大臣の指示を必要とするなど、大臣の指揮監督をより効果的なものにするための規律を設けるなどを盛り込んだ国家公務員制度改革基本法案が衆議院で審議中だが、今国会で成立するかどうか、成り行きが注目されている。

 国家公務員制度改革では国家公務員が内閣や内閣総理大臣、各大臣を補佐する役割を適切に果たす環境づくりへ、国会議員への政策説明など大臣を補佐する政務専門官を設置するほか、政務専門官以外の職員が国会議員に接触する場合には大臣の指示が必要などの規律を設ける計画だ。また、内閣官房に総理大臣の命を受けて特定の重要政策にかかる企画立案に関し総理大臣を補佐する職(国家戦略スタッフ)を設置。同様に各大臣においても大臣の命を受けて特定の政策の企画立案や政務に関して大臣を補佐する政務スタッフを置くとしている。また、事務次官や局長、部長など幹部職員の任免については総理大臣の承認を要することにし、内閣人事庁を設置して、内閣人事庁が、各大臣が人事を行う場合に内閣としての一体制が確保できるよう、情報提供や助言を行うほか、各府省が幹部職員候補名簿の原案を作成し、内閣人事庁が候補者の適格性を審査。さらに内閣人事庁に必要に応じて候補者名簿を作成する権限を付与することにしている。幹部職員は内閣人事庁と各府省に所属する形になる。

 このほか、多様な人材登用を図るため、現行の採用試験の種類や内容を大幅に見直す計画で、総合職は政策企画立案に係る能力の高さを重視。一般職は的確な事務処理能力の有無。専門職は特定行政分野の専門知識を重視して試験を実施する。また、大学院課程の修了者などを対象として採用試験や係長以上の職への採用を目的とした中途採用試験を行う。採用後の任用は人事評価に基づいて適切に実施する。さらに、官民の人材交流の推進(人事交流について手続きの簡素化や対象の拡大を図るなど)、国際競争力の高い人材の確保と育成(幹部候補育成課程職員を国際機関での勤務に就かせる機会を提供するなど)につとめることにしている。さらに、職員倫理の確立と信賞必罰の徹底を図り、能力や実績に応じた処遇(給与や退職手当などの見直し、雇用と年金の接続を留意した定年の引き上げとともに役職定年制度や職種別定年制度の導入なども検討する)をはかる。

 内閣官房長官を長とした内閣人事庁を設置し、総務省、人事院その他の国の行政機関が国家公務員の人事行政に関し担っている機能について、内閣人事庁が実効性を発揮する観点から必要な範囲で内閣人事庁に移管することなどを謳っている。

 また、内閣に国家公務員制度改革推進本部を設置し、改革推進の企画や立案、総合調整機能を持たせるほか、国家公務員、地方公務員の労働基本権の検討に関する事務を行う。本部長には内閣総理大臣が就き、全ての国務大臣をもって組織する。本部は設置の日から5年を経過する日まで置くとしている。