JR東海は車両の高速走行状況を忠実に再現できる、世界でも類のない試験装置を愛知県小牧市にある同社の研究施設に設置。今月から本格的な試験をスタートさせる。
この試験装置を活用することにより、(1)乗り心地をよりよいものにするため、軌道と車両の関係を研究し、車体の揺れを抑える新しい制振装置の開発をめざすほか、(2)現在「鉄」でできている部品を「アルミ」に置き換えるなど、部品の構造を見直すことにより車両の軽量化とともに省エネルギー化を図りたい意向だ。また(3)常に車両の状態を監視し、早期に前兆を把握することにより、未然に不具合を防ぐシステムの構築をめざすとしている。
松本正之社長が4月の定例記者会見で発表した。それによると、新しい試験装置を使い、実物大の試験車両の車輪を、レールに相当する部分を輪にした「軌条輪」上で実際に回転させ、軌条輪を揺らし、走行時の軌道の直線に対する狂いを再現させるほか、台車を揺らしてレール表面の小さな凹凸の再現や車体を揺らしてトンネル内の空気力による揺れを再現するなど、定置で本線での車両の走行状態を再現し、データを得る」。
松本社長は「これまでも軌条輪の加振ができる車両試験装置はありましたが、台車や車体への加振装置付きの車両走行試験装置は世界で初めてのもの。この装置で東海道新幹線をさらにブラッシュアップする技術開発を行いたい」としている。