中小企業庁発表の「中小企業実態基本調査」によると、平成23年度における中小企業の従業者数は3,026万人(うち製造業605万人)、売上高は509兆円(同110兆円)とのこと。日本の企業の約99%を占める中小企業は、今窮地に立たされている。
中小企業でなおかつ製造業であるのは約45万社といわれ、なかでも取引額の最も多い事業者への依存度が50%超である下請中小企業は約40%に達している。それに対し、親事業者の下請け切りや下請けイジメといわれるものが常態化している状況である。原価を割れでの受注要求、あらゆる名目での手数料徴収、発注予定のない相見積もりの要求、海外展開による一方的な契約の打ち切り、これらが戦後築き上げた日本の産業の歯車を狂わせ中小企業を蝕んでいる。
下請けいじめについては、国も画策し、2014年4月からの消費税率引き上げ時に、納入業者が増税分を価格に反映しやすくなるよう消費税転嫁法が6月5日の参議院本会議で可決・成立。また、中小企業庁が全国48箇所に設置している「下請かけこみ寺」では、電話やメール、訪問にて下請け企業からの相談を受付、その他、毎年1回、親・下請事業者に対して下請代金支払遅延等防止法に関する返信義務のある書面調査を行い、違反のおそれのある企業に対し、指導を行っている。
下請代金支払遅延等防止法は、けっして最近成立した法ではない。重大な違反が認められれば、企業名はたちまち全国規模で報道され、企業にとって大きな打撃になるはずである。そのような状況であるにもかかわらず、改善指導を出される親事業者は少なくない。中小企業庁「平成24年度における下請代金支払遅延等防止法に基づく取締状況等」によると平成24年度は、親・下請事業者あわせて約27万社に対し書面調査を行い、違反のおそれのある1,158社に立入検査等を実施し、このうち1,035社、2,715件の違反行為について、書面による改善指導等を行うとともに、減額した下請代金等の合計約12億9400万円の返還等を親事業者に指導したとのこと。また、重大な違反行為のあった1社(昨年度は4社)について、公正取引委員会へ措置請求を行っている。
中小企業も親事業者からの発注をただ待っているわけでなない。海外で開催される展示会に出展したり、海外の工場を見学、営業活動を行ったりし、取引の輪を広げている。自社生産にこだわり続けた企業の中でもこの1、2年で海外に部品を発注するようになったという話しを聞くこともある。とはいえ、例え大企業であっても海外展開で必ずしも成功しているとは限らない。国内の産業を国内だけで守れなくなっている今、私たちは壊れかけた脚立の上に立っているようなものではないだろうか。(編集担当:中村小麦)