4月8日に内閣府より発表された3月の景気ウォッチャーによると、「3月の現状判断指数は前月比で4.1ポイント上昇し、5か月連続で上昇した」とされ、高額品や乗用車、衣類などを中心に消費者の購買意欲の改善が引き続き見られており、求人増加の建設業などの雇用関連指数の上昇もあり、『景気は持ち直している』とまとめた。
背景のひとつとして日銀の金融緩和による円安傾向が挙げられるが、各業界大手の動向はどのような動きを見せているのだろうか。
出揃ったばかりの小売業界は、「アベノミクス」が消費者に浸透している兆しが見える。11日に発表されたイオン<8267>とセブン&アイ<3382>は両社とも過去最高の利益を更新し、消費の回復を示した形となった。
一方、この景気対策が救世主となるかもしれないのが家電業界だ。1ドルが100円台を突発するのも時間の問題となりそうだが、円安時に深刻な業績低迷により、暗いニュースばかりが目立った家電業界もこの円高傾向を追い風にできるか注目される所だ。韓国のサムスンにテレビなどの市場をごっそり奪われたソニー<6758>やパナソニック<6752>も株価が上昇しており、今後の動きが期待される。
最も期待が膨らむと言っても過言ではない自動車業界は、4月1日に発表された日銀の短観でも業況判断は前回のマイナス9ポイントからプラス10ポイントと大幅に好転しており、トヨタ<7203>をはじめ業績回復傾向のニュースが市場を賑わせている。
住宅業界は依然好調で、さらに今後も伸長しそうだ。先日、帝国データバンクが発表した今年3月の景気動向調査によると、住宅建築増などにより3ヶ月連続での最高水準となっており、また、住宅設備・建材市場でも16年は11年比の5.3%増という見通しを富士経済が公表、長期に渡って好況となりそうな勢いである。2012年度上期に建築請負事業の受注額が過去最高額だった旭化成ホームズは2013年3月の請負住宅月次受注でも前年同月比12%増と速報で伝えており、大手住宅メーカーの好調ぶりが伺えた。住宅メーカーでは大手に限らず、早い段階で中堅メーカーも結果を出してきており、例えばアキュラホームは堅調に推移してきた売上を若い世代でも購入できる価格帯の住まいづくりが後押ししたことなどもあり、さらなる増収が見込まれるという。
このように、何かと「景気復調」ぶりが報道される安倍政権ではあるが、過去の好景気転落から学んだ教訓が活かされなければ、今度こそ日本経済崩壊の危機があるということを、こういう時期だからこそ改めて考えておきたい。(編集担当:滝浦巧都)