アメリカの大手衛星放送会社ディッシュ・ネットワークは18日、米携帯会社3位のスプリント・ネクステルに対する新たな買収提案の提出を見送ると発表した。このことにより買収は事実上断念された形となり、2012年より同社とスプリント買収を巡って争っていたソフトバンクの買収成功の可能性が高まった。
スプリントの買収を、アメリカ進出への足掛かりと考えていたソフトバンク＜9984＞は、昨年10月に201億ドルでの買収を発表。それに対してディッシュは255億ドルを提示し対抗する姿勢を見せたが、今月11日にソフトバンクが買収額を216億ドルに引き上げると、スプリント側もそれに賛同し、ディッシュに対して18日までに新たな買収提案を提出するよう求めていた。
しかしスプリントが、ディッシュとの交渉を途中で打ち切ったことや、ソフトバンク側が導入するよう求めた「買収防衛策」を決定したことにより、ディッシュが新たな買収提案を行うことは難しくなった。
そして18日の声明でディッシュは、スプリントとの統合を「引き続き戦略的価値があると考えている」と述べたものの、「期限である18日までに新たな買収提案を提出することは出来なくなった」と説明した。今後は、スプリントの子会社である、米高速無線通信会社クリアワイヤへの買収に力を注ぎつつ、「スプリントに対する選択肢を考える」と発表した。
こうしてディッシュの買収提案が提出されなかったことにより、25日に開かれるスプリントの臨時株主総会で、ソフトバンクの提案が承認される見込みだ。
ディッシュの買収提案見送りを受け、ソフトバンクの広報室は19日、「今後は米連邦通信委員会や株主総会の承認を得て、予定通りに７月上旬に本取引が完了すると見込んでいる。取引の完了後は新しいスプリントを米国市場で上位2社に対抗出来るような企業にしたい」とコメントを発表している。また、19日の東京株式市場では、ソフトバンクの株価が大きく上昇。その上げ幅は一時は6％ほどにまで達した。（編集担当：滝川幸平）
