免疫細胞療法の躍進と問題点

2013年06月24日 21:46

 がんの三大療法である手術・放射線治療・化学療法に加え「第四のがん治療」として注目されている免疫細胞療法。その中でも活性化自己リンパ球療法は約30年の歴史を持つ治療法である。国内において、活性化自己リンパ球療法が広く知れ渡ったのは約15年前。それまで免疫療法の多くが、採血した血液からリンパ球を取り出し、体外で大量培養を行った後、体内に戻すという方法が用いられていたが、免疫学の進歩に伴い、単なるリンパ球ではなく、がん細胞への攻撃力を高めたリンパ球を培養できるようになり、国内での認知度を高めたと考えられる。

 かつて免疫細胞療法の最大のメリットはQOL(クオリティオブライフ)の向上にあるといわれていた。化学療法などの副作用による精神的・肉体的な苦しみから解放され自分らしく生きるということである。しかし、近年では、治療効果を重視し三大療法と免疫細胞療法を併用する傾向が強くなっている。これは免疫細胞療法に携わる者の技術力が向上し、化学療法や放射線治療によって弱ったリンパ球を培養することが困難ではなくなったからと考えられる。

 がんの再発・進行防止やQOLの向上に貢献する免疫細胞療法であるが、公的医療保険が適用されない自由診療のため費用は高額である。医療機関により違いはあるが多くの場合、最低でも130万円の用意が必要といわれている。すでに三大療法により高額な医療費を負担しているであろう患者やその家族にとって、この費用負担は重い。セコム損害保険株式会社の「自由診療保険メディコム」は、保険診療だけではなくこのような自由診療にかかった費用も補償する国内唯一のがん保険である。入院費用についてはその治療費の全額、通院費用については、契約期間5年ごとに1,000万円を上限とし自己負担額の全額を補償し、がんと診断された際の一時金の支払いもある。ただし、契約をするには今までにがんにかかったことがないことが条件であるから、保険契約を検討するときに「もし、がんにかかったら、どのような治療をしたいか」ということを考えておかなければならない。

 今年に入り、免疫細胞療法に関する動きが活発化している。東京医科歯科大学難治疾患研究所の樗木俊聡教授らが免疫機能を司る樹状細胞の源となる細胞を発見。また、免疫細胞療法支援サービスを提供する株式会社メディネットでは、元厚生労働大臣である坂口力氏が5月7日付けで最高顧問として就任し、再生・細胞医療の普及発展に拍車をかける。(編集担当:中村小麦)