美容と健康に役立つ、乳酸菌。ヨーグルトやチーズなど乳製品で作られた動物性乳酸菌は知っている人も多いだろうが、野菜や大豆、麦など植物素材を発酵させた植物性乳酸菌やみつばち乳酸菌があるのはご存知だろうか。今回は身近な食材からみつけられた乳酸菌を紹介する。
煎餅でお馴染みの亀田製菓<2220>は、1992年煎餅の原料である米から分離した植物性乳酸菌(ラクトバチルス カゼイ)を発見。同社の頭文字のKをとり「K-1乳酸菌」と名づけた。この乳酸菌は、整腸作用と変異原物質(細胞の遺伝子を損傷させ突然変異を引き起こす物質)の除去作用に優れている。玄米を洗い浸水させこのK-1乳酸菌液を0.1%加えると、玄米の栄養を摂り17時間後にはK-1乳酸菌の量が約260倍にもなった。またK-1乳酸菌で作ったヨーグルトを毎日一回一週間食べ続けると、腸内の乳酸菌が1000倍にも増加したという研究もある。
またカゴメ<2811>の商品名にも使われている「ラブレ菌」は、京都にあるルイ・パストゥール医学研究センターを設立した故岸田綱太郎博士が、1992年に発見。同博士は京都男性の寿命が長いという新聞記事に興味を抱き、京都の食べ物の調査。その結果、京都三大漬物のひとつ「すぐき漬け」から、新しい乳酸菌を見つけたのだ。ラブレ菌は、塩分や酸に強い性質を持ち生きたまま腸内に到達。また腸内に届いた後も留まり、糖から乳酸を作るだけではなく、ビフィズス菌などの善玉菌も増加させる効果も解明されている。
山田養蜂場は、蜂蜜やローヤルゼリー、プロポリスなどに続き、2013年に1月新たなミツバチの恵みとなる「機能性みつばち乳酸菌」の発見について発表した。2008年からミツバチ由来の微生物に関する研究をスタート。ミツバチの体内やミツバチ産品から採取した 1,000 を超える微生物サンプルを分析し、その中から生きている微生物 314 株、内、乳酸菌 137 株を確認することができたと関係者は話す。前述の乳酸菌の中のいくつかには、ミツバチのおなかの中にも存在していることもが判っている。今後はそれらの様々な有用性を調べ、人間に対する具体的な機能性を確認し生産技術を確立後、商品化も検討すると言う。
様々な食材に秘められる乳酸菌パワー。腸内環境を整えるだけはなく、免疫力の向上やコレステロール値の低下、アレルギーの抑制効果など、健康作りをバックアップしてくれる存在だ。またビオフェルミン製薬は、乳酸菌が近年増加中の過敏性腸症候群に伴う腹痛の抑制にも効果があることを発見した。食の洋風化が進みストレス社会の生きる現代人は、もっと積極的に摂取したい栄養と言えるだろう(編集担当:野口奈巳江)