伊藤園の中央研究所が、フェカリス菌(殺菌体)入り乳性飲料の継続的な摂取による善玉菌の割合増加、便通改善効果について、ヒトを対象とした臨床試験で確認したと発表。同社はこれまでにも、フェカリス菌(殺菌体)入り乳性飲料には、花粉症症状緩和効果があることを確認していた。試験結果の詳細は、6月14日から神戸市産業振興センターで開催される「第16回 腸内細菌学会」で発表される。
ヒトの腸内には数百種類の菌(腸内細菌)が、合計で約100兆個いるといわれている。その中の善玉菌と呼ばれるものには、腸内環境改善作用(便通改善作用など)や免疫力を高めることによる感染防御作用、発ガン抑制作用、アレルギー症状の改善作用などが報告されている。また、近年、乳酸菌のうちフェカリス菌などの一部の菌は加熱殺菌処理などにより殺菌体となっても、その菌体成分が直接あるいは腸内細菌叢を介して有益な効果を発揮することが明らかとなってきました。こうしたことを受けた今回の臨床試験では、フェカリス菌(殺菌体)入り乳性飲料(オリゴ糖含む)を摂取することで腸内環境が改善すること、またフェカリス菌の摂取量を増加させると効果はより顕著になることが明らかになったという。
健康志向の高まりと、その摂取の容易さから注目を集めている乳酸飲料。この市場は底堅く、今後の伸長も期待される分野でもある。その注目市場におけるブランド力と微生物活用などの特殊高度な技術を保持していたことが、アサヒグループホールディングスによるカルピス買収の要因の一つとも言えるであろう。この注目市場での新たな効果の発見は、市場の伸長を後押しするものとなるであろう。積み重ねた高度な研究が必要となる分野なだけに、どの飲料メーカーもが参入できる市場ではない。そのため、少数精鋭による凌ぎの削り合いが繰り広げられるのではないだろうか。