個人情報に対する国民意識が高まる一方で、過剰反応といえる状況が生じていることなどから、国民生活審議会個人情報保護部会では現在、基本方針の見直しを進めている。
3月下旬には検討案件をまとめ、諮問・答申する予定で、その後、閣議決定される。
これは個人情報保護に関する苦情相談が1万2876件(18年度に地方公共団体や国民生活センターに寄せられた苦情相談)と1万件を超える一方で、個人情報保護部会の初会合でも西村明宏・内閣府大臣政務官が地元の事例をあげ、「わたしの地元・宮城県でも地震が99%の確率で近い将来起きますという予報がでているなかで、クラスの緊急連絡網をつくろうとしても、つくれないのではないか、という話まで起きており、本当に過剰反応でございます」と紹介するように、過剰反応による弊害が生じている状況を改善する必要から、検討しているもの。
特に過剰反応に対しては条例に起因しているところもあると思われ、条例の適切な解釈・運用や住民に対する広報、啓発を重点的に行うことが求められている。あわせて、法の改正も視野に対応を検討していくことになっている。
個人情報の保護に関する基本方針について、個人情報保護法の理念と制度の項では「いわゆる『過剰反応』を踏まえた取組」規定を追加し、「昨今、プライバシー意識の高まりや個人情報を扱う上での戸惑いから、社会的な必要性があるにもかかわらず、法の定め以上に個人情報の提供を控えたり、運用上作成可能な名簿の作成を取り止めたりするなど、いわゆる『過剰反応』が生じている。国は事業者及び国民に対する広報・啓発に積極的に取り組むものとする。地方公共団体においては広報活動に積極的に取り組むことが求められる」などの趣旨の規定が加えられることになるもよう。
このほか、消費者の権利保護の観点から「保有個人データについて本人から求めがあった場合には、自主的に利用停止に応じること。委託の有無。委託する事務の内容を明らかにする等、委託処理の透明化を図ること。事業者がその事業内容を勘案して、顧客の種類ごとに利用目的を限定して示す等、本人にとって利用目的がより明確になること。取得元、取得源の種類や取得経緯等、個人情報の取得方法を、あらかじめ可能な限り具体的に明記すること」などが自主的な取組として謳われる予定。文言などは、次回の部会で調整される。