今年も様々なテクノロジーが会場を賑わせ、盛況のうちに幕を閉じた「CEATEC JAPAN」。昨年も注目を集めた次世代映像技術「4K」はいよいよ第2世代の公開に突入し、普及を目指すメーカーブースには多くの人が訪れた。
2011年12月に、いち早く4Kテレビ(4K2K高画質レグザ)「X3」、「XS5」を市場に送り出した東芝は、来春発売予定の第2世代4Kテレビを参考出品、こちらは50・60型とあわせて3モデル展開を予定しているとした。
昨年話題の4Kプロジェクター「VPL-VW1000ES」を発売したソニーは、いよいよ4Kテレビ「KD-84X9000」を発表、サイズは84V型の1モデルだが、既に11月23日に発売されることが決まっており、ブース内にも展示されていた。
「IGZO」でその新技術が話題を呼んだシャープは「ICC4K液晶テレビ」を発表、アイキューブド研究所との共同開発による質感や臨場感などに優れた映像を実現するテレビは2013年に発売を予定している。
注目を集める4Kテレビだが、実際その性能が発揮できるコンテンツが現時点ではほとんど存在しないため、レグザのように高画質処理をするためのCPUを搭載し、ブルーレイに収められた映像をアップコンバートしてモニターに映して、その精細な画質を楽しむという方法を選択せざるを得ないのが現状だ。
一方パナソニックは別角度からのニーズを模索する。20インチという他社とは違うサイズは、迫力の大画面で高画質を楽しむというエンターテインメント性の強いものとは異なり、より専門的に、そしてより実用的なニーズに対応しているといった印象を受ける。実際、プロカメラマンが「画像チェックにこんな最適なモニターはない。是非製品化して欲しい」などの声をモニターで聞いたし、新しいiPadのモニターの美しさが高い評価を受けていることを考えれば、納得できる。
そのパナソニックのブースにはNHK放送技術研究所と共同開発を行った8Kの145V型の大型モニターが展示されていた。この8Kは4Kよりさらに高精細の解像度を誇る「スーパーハイビジョン」と呼ばれるデジタルビデオフォーマット。7,680×4,320の画素数は、これこそ未来の映像と呼ばれるものだ。NHKとJEITAの共同ブースではこのスーパーハイビジョンを見ることができたが、実際にはNHKが2020年のテスト放送開始を目指していることからも、実用化はまだまだ先の話だ。データの容量も膨大で、ブースで流れる数分の短い時間の映像でも何個かのハードディスクに分けられ保存されており、この容量を収めるメディアの開発も当然考えられていくだろう。
4K、8Kへと進化していく高精細テレビではあるが、高画質であることの答えは決してエンターテインメント性の追求だけではないということを教えてくれた「CEATEC JAPAN 2012」。日本のメーカーの技術力の高さは十分証明されているが、普及への糸口は明確になっていない。2013年のCEATECを迎えるまでのメーカーの市場へのアプローチは今後の高精細テレビの未来を占う重要な期間として、じっくりと見ていきたい。