自民党の安倍晋三総裁(総理)は3日の日本記者クラブでの9党党首討論で、自民党の公約について「自民党の公約は自民党本部が出したものが公約です」と地方の自民党県連が地元で掲げている地域版公約は「地域が独自に取り組みを示したものであって、沖縄県連が普天間飛行場の移設を県外としているのは、彼らの希望を書いている」と希望の範疇のもので、党本部の掲げる公約が国民との約束にあたる、いわゆる「公約」であるの考えを明示した。
社会民主党の福島みずほ代表が「沖縄の自民党は普天間飛行場の辺野古への移設(辺野古に基地をつくること)に反対している。福島の自民党は脱原発だ。北海道の自民党はTPP断固反対だ。自民党は本部と地方で意見が正反対だ。本部はなぜ地元の切実な声を踏みにじるのか。あるいは二枚舌ではないか」と追求したのに答えた。
また、憲法問題で、安倍総裁(総理)は生活の党の小沢一郎代表から自民党の憲法改正草案では基本的人権は永久の権利として与えられたものということを規定している現行憲法97条を削除しているが「なぜか」と質され「97条を削除して、別の項目に統合したのだろうと思う」と答え、主旨は変わっていない旨答えた。
また社民党の福島みずほ代表から「憲法は権力を縛るもので、立憲主義と思っているが、自民党の憲法改正草案はこれに則したものか。憲法改正草案は基本的人権を公益および公の秩序によっていくらでも制限できるものになっている。表現の自由を公益や公の秩序でもって制限すれば、なくなってしまうのではないか」と提起したことには「憲法には権力を縛る側面もある。しかし、全て、権力を縛るものであるとの考え方は王権の時代、専制主義的な政府に対する考え方であって、今は民主主義の時代であり、権力を縛ると同時に国の姿についても書き込んでいくものだと考えている」と答えた。
また、基本的人権について「いくらでも制限できるものになっているという読み方は明らかに間違った読み方だと思う」と反論した。
みどりの風の谷岡郁子代表が「国民がとなっている現行憲法の書き出しに対し、自民の憲法草案は国がとなっている」とその意図を質した問いに、安倍総裁は「国民主権・基本的人権・平和主義、これは今の現行憲法と変わっていません。主権在民に現行憲法と自民草案にいささかの変わりもない」と強調した。
参院選挙では「憲法」の扱いを見据えた投票行動が必要で、その視点からも選挙結果が注目される。(編集担当:森高龍二)