TPP公約の転換 政府自民に「裏切りだ!」 不安感広がる農家

2013年07月03日 19:05

昨年12月の衆議院選挙で、TPP推進の民主党政権に対し、自民党は、公約で「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加には反対」「国民皆保険を守る」「食の安全・安心を守る」など6条件を挙げ民主党を破り、選挙に圧勝した。ところが政権を奪還するや否や安倍首相の言葉は大幅に変わった。2月末の国会では、6条件の内「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」は公約だが、残りは「目指すべきは政策で」を転換した。

 そして3月にTPP交渉参加を決めた。このころの政府の発表した試算では、TPPで関税がなくなれば、日本の実質国内総生産(GDP)は、輸出が増えるなどして10年後に3.2兆円増えるとしている。

 4月十勝地方の農業団体向けに、自民党が開いたTPP説明会では、地元から多くの罵声を浴びた「混乱させられ、情報提供もない、そんな政治に期待できない,われわれをだました」と十勝農業協同組合連合会は激怒。

 これに危機感を感じた安倍政権は、今月まとめた急成長戦略で「農業、農村の所得倍増」を掲げた。農地の集約や、農家が加工・販売に乗り出す「6次産業化」などを進め、TPPに不安を持つ農家に、明るい将来像を示す狙いと見られている。成長戦略の骨子としているのは強い農家を作ることにあり、その戦略として、農地を預かり、その担い手に斡旋する「農地集積バンク」を全国に作ろうというもの。

 政府自民党は、経済政策”アベノミクス”のデフレ脱却、東京都都議選の対象と正に、順風満帆の勢いで、参議院選挙に突入するかに見えた、が株の乱高下、高市議員の「福島原発ではだれも死んでない」などの不見識発言もあり、支持率の低下が顕著になってきた。

 こうした時期のTPP問題である。農家の反発は当初から予想されたこと、今後この問題にどう退去していくか、自民党の今後を占う意味でその成り行きが注目されよう。(編集担当:犬藤直也)