上半期のビール類出荷量、過去最低に

2013年07月15日 19:03

 10日、ビール大手各社が発表した2013年上半期(1月~6月)のビール類(ビール・発泡酒・第三のビール)の出荷量は、前年の同期と比べて0.9%マイナスの1億9929万4000ケース(1ケース大瓶20本換算)と、過去最低の数値となった。

 4月、5月は天気にも恵まれ、さらに日銀の発表した金融緩和策の導入による景気回復ムードの影響から出荷量はプラスであったが、大雪の影響で伸び悩んだ1月、2月、3月、そして週末に天気の悪い日の多かった6月のマイナスを補うことは出来なかった。

 こうしてマイナスになるのは、東日本大震災の影響により、生産や販売が落ち込んだ11年の上半期以来、2年ぶりとなる。

 ビール類の種類別の結果は、「ビール」が1.9%マイナス、「発泡酒」は6.3%マイナスという結果だったが、「第三のビール」に関しては2.7%プラスで過去最高を更新しており、消費者の意識が低価格の商品に集中している現状が浮き彫りとなる結果となった。

 しかし、「休日の贅沢」という提案により、高価格のビールにも確かな動きはあり、アサヒビール<2502>などはギフト用の高級品の販売目標を上方修正している。必ずしも「第三のビール」のみが消費者に支持されているわけではないことが、このことからも伺える。

 また、アサヒビールの、氷点下の温度帯で楽しむ「エクストラコールド」など、各社が新しい飲み方を提案したことにより、生ビールなどの飲食店向けの業務用(たる)は1.0%プラスであり、そのため各社は「外でお酒を飲む傾向は回復しつつある」と、景気回復により出荷増に転じることを期待している。
 
 ただし、イオン<8267>によるプライベートブランド商品「トップバリュ バーリアルラガービール」などの台頭もあり、それらが消費者の間で「安い」という理由からだけではなく「美味しいから」という理由で購入する傾向も生まれていることから、ビール大手各社にとっては、まだまだ厳しい状況が続くことが予想される。(編集担当:滝川幸平)