加齢や女性の閉経による骨代謝機能の乱れなどを要因として発症する骨粗しょう症。近年は、高齢者人口の増加に加え、運動不足や食生活の変化により患者数が急激に増加、国内で1000万人を超えるという。
こうした中サッポロビールが、東京農業大学との共同研究の結果、ビール原料のホップの苦味成分に、骨密度の減少を抑制する作用があることを、老年性骨粗しょう症モデルマウスを使って明らかにしたと発表した。
ホップ由来の苦味成分イソアルファ酸の還元体であるテトラヒドロイソアルファ酸(THIAA)。そのTHIAAに老年性骨粗しょう症予防効果があり、そのメカニズムは破骨細胞による骨吸収の抑制に起因する事が分かったという。
細胞実験では、ラット由来の破骨細胞を骨に似た特殊なコーティングのされたプレート上で培養し、THIAAを添加。何も添加しない場合は細胞がプレート表面を吸収した痕跡が残るのに対して、THIAAを添加した場合にはプレート表面の吸収痕が確認されなかったという。この結果、THIAAは破骨細胞の骨の吸収(破壊)を抑制することが明らかになった。また動物実験では、老年性骨粗しょう症モデルマウスの餌にTHIAAを添加して8週間飼育し、大腿骨の骨密度を測定。その結果、THIAAを摂取した場合、摂取していない場合と比較して、骨密度減少が抑制されたという。次に、骨吸収マーカー「酒石酸耐性フォスファターゼ(TRACP)」の血液中の活性を測定。その結果、THIAAを摂取した場合、摂取していない場合と比較して、TRACP活性上昇が抑制されたとのこと。
THIAAは安定性が高く、苦味料として食品に広く利用されていることから、サッポログループでは、本研究成果を活かした商品開発を行うとのこと。酒は百薬の長というが、健康食品にまでなり得るのか、今後の研究・開発に注目が集まるところであろう。(編集担当:井畑学)