キリン、「ブランドを基軸とした経営」で消費マインドを向上

2013年01月11日 08:40

キリン<2503>はキリングループ長期経営構想「キリン・グループ・ビジョン2021」を掲げている。これは、今後の国内綜合飲料事業の持続的な成長に向け、同社と事業会社(キリンビール社、キリンビバレッジ社、メルシャン社)が一体となり「お客様にとっての価値の創造」「企業ブランドの価値向上」「CSV(Creating Shared Value(社会と共有できる価値の創造))実践による競争力の向上」の好循環を生み出すことで、「ブランドを基軸とした経営」を実践、2015年に対2012年比で増収増益を目指す構想だという。

 構想の一貫として、ブランドの価値を向上させるため、重点ブランドへの経営資源集中や消費者へ高品質で安全・安心な商品を提供するための「上質なモノづくり」の基盤強化に取り組み、長期的な視点に立って商品ブランドを育成する。

 例えば、酒類事業では、ビール・発泡酒・新ジャンルにおいて、「一番搾り」「淡麗グリーンラベル」「のどごし<生>」を重点ブランドとし、成長カテゴリーであるRTD(Ready to Drink(栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料))では、「氷結」を中心に資源を積極投入。また、ノンアルコール・ビールテイスト飲料では、「キリン フリー」の抜本的な味覚改善によるブランド活性化を図る。海外においては「一番搾り」を中心としてグローバルブランディングを推進し、「一番搾り フローズン<生>」の海外本格展開を開始するなど、商品ブランド力強化を目指す。さらにワインでは、フラッグシップブランド「シャトー・メルシャン」において情報発信をより強化。また「フランジア」、「フロンテラ」、「エブリィ」、「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」を重点ブランドとし、強いブランドづくりを目指すという。

 飲料事業では、「午後の紅茶」「ファイア」「生茶」「ボルヴィック」「アルカリイオンの水」を引き続き基盤ブランドと位置づけ、次期基盤ブランド候補として「メッツ コーラ」「世界のKitchenから」をチャレンジブランドとし育成に注力。特に「午後の紅茶」「ファイア」「メッツ コーラ」の3つを重点ブランドと位置づけて資源を集中投下し、強いブランドづくりを行う。

 また、各事業のマーケティングリサーチ機能を結集することで、酒類及び清涼飲料に対する消費者ニーズと社会の変化の調査・分析力を強化。消費者の生活シーン全体を俯瞰し、長期的な視点に立ったブランド価値向上につながる綜合飲料トータルでの商品ポートフォリオを見直すことで、国内綜合飲料事業の成長に必要な強化ポイントを明確化し、酒類・飲料の枠を越えた戦略的な資源配分を大胆かつ柔軟に行う。さらに各事業のR&D機能を統合し酒類・飲料の知見を融合することにより、競争優位やコスト低減につながる新商品・容器の技術開発、「食と健康」の事業領域拡大につながる基礎技術の開発など、事業の枠を越えた研究開発を推進。従来の発想や常識にとらわれない新しいアイデアが生み出される環境の整備やオープンイノベーションの推進などにより、「モノ」の価値にとどまらず、消費者と一緒に「コト」(喜び・豊かさ・笑顔)の価値を生み出すことで、新たなカテゴリーやビジネスモデルを創造していくという。

 長引く不況により、飲料業界の低迷も続いている。ただやみくもに商品を開発し販売しても、定着せず消えていく商品が多いのが現状だ。同社は各事業のブランド戦略の一貫性を高め、商品ブランドと企業ブランド双方の価値向上につなげることで「ブランドを基軸とした経営」を加速。「キリン・グループ・ビジョン2021」を軸に、消費マインドを高めるブランド力で、飲料業界全体の活性化を図る。(編集担当:宮園奈美)