日本百貨店協会が発表した6月の百貨店売上高は5167億円で、前年比7.2%のプラスと高い伸びを示した。増加率は昨年3月(14.1%増)以来の大きさ。売上高も2か月連続プラスだった。
先月は全国的に気温が高く好天に恵まれたことや、多くの店でこれまで7月スタートだった夏のセールを6月に前倒ししたこと、さらに休日が前年より1日多かったことなどの好条件が重なり、夏物ファッション衣料は10.5%の増加となった。
宝飾品や高級時計の伸びも大きい。美術・宝飾・貴金属品の増加率は16.3%。ブランド小物など「身のまわり品」も14%増だった。父の日商戦も好調だったようだ。さらに中元の早期受注も前年より多く、売上高の増加に弾みを付ける要因となった。
そしてようやくというべきか、長く不調が続いていた地方百貨店にも薄日が差してきているようだ。売上高の増加率では都市部に遠く及ばないものの、ほぼ全地域で前年の売上をクリアする結果となった。北海道(札幌のぞく)は4%増で、実に15ヶ月ぶりのプラス。九州(福岡のぞく)も4.5%増で7ヶ月ぶりのプラスだった。四国地方は2ヶ月連続のプラスで、7.3%もの売上増。前年比をクリアできなかったのは広島だけである。
昨年末からのアベノミクス効果で株価が高騰し始めて以来、大都市圏では宝飾品などの売上が目に見えて増加していた。ところが地方百貨店はあまりその恩恵を受けず、長く苦しい状態が続いている。郊外の大型ショッピングセンターやネット通販に押され、売上高は前年比マイナスが当たり前。多くの百貨店は不採算店舗の閉店を進めたり大手の傘下に入ったりするなどして生き残りを図っているが、その効果もなかなか現れず、地方百貨店そのものの意義が問われるような状態が続いていた。
しかしこれまでのマイナス幅が大きかったからこそ、今回、地方で売上高が増加に転じたインパクトは大きい。この売上増は、地方経済の回復を意味するのか。来月以降の動向にも注目だ。(編集担当:北条かや)