【日経平均】SQ前の水曜ゆえ576円下落し終値13824円

2013年08月07日 20:16

 NYダウは93ドル安。貿易統計が発表されて貿易赤字が市場予測を超える縮小をみせたが、良い数字が出ても「量的緩和早期縮小」が連想されてNYダウは下がる。NASDAQも6日ぶり下落。アトランタ連銀のロックハート総裁、シカゴ連銀のエバンズ総裁が量的緩和縮小が9月開始の可能性をほのめかし、1日でも長く続いてほしい市場が「雇用統計を見て延びたはずではないのか」と受け止めたのも売りの根拠だった。7日朝方の為替レートはドル円が97円台後半、ユーロ円が130円近辺で前日よりも円高が進行していた。

 日経平均は245.11円安の14155.95円で始まる。午前10時すぎにドル円が97円を割り込む寸前まで円高が進行し、日経平均も急落して、まるで前日は中途半端だった「マド埋め」をやり直すかのようだったが、前場の最安値は14020円でマドが完全に埋まる14005円まで下がらない。しかし後場は先物主導の一段安で午後0時52分に14005円を割り込み、マド埋め完了。その後は、最後は97円を割り込んだドル円の動きに伴ってズルズル下がり続け、終値は576.12円安の13824.94円で安値引け。今年4番目の下落幅で8月に入り4日間守っていた終値ベースの14000円台から滑り落ちた。TOPIXは-38.40の1155.26。売買高は24億株、売買代金は2兆1300億円で、3日ぶりに2兆円台を回復した。

 値上がり銘柄は98しかなく全体の5%。業種別騰落率は全業種がマイナスで、下落幅が小さかったのは水産・農林、石油・石炭、海運、鉱業、空運、サービスなど。大きかったのは不動産、倉庫、精密機器、ゴム、繊維、情報・通信などだった。

 日経平均採用225種でプラスは6銘柄だけ。マイナス寄与度1~4位は「御三家」とKDDI<9433>で、合計で日経平均を176円押し下げた。これは下げ幅の約3割を占めており、大引け間際の先物主導の下がりっぷりの激しさを物語る。やはり「SQの週の水曜日は荒れる」というアノマリーは健在だ。

 プラスの主力銘柄は、ダイキン工業<6367>、昭和シェル石油<5002>、千代田化工建設<6366>、マルハニチロ<1334>など。住友大阪セメント<5232>も前日の決算での経常利益78.4%増を好感されて11円高。同様の好決算の太平洋セメント<5233>も1円高だった。アベノミクスによる建設需要の伸びを好感されたが、大手ゼネコンの決算は単純ではない。1時30分に4~6月期決算を発表した鹿島<1812>は売上高減で営業利益も51%減少し10円安。2時に発表した大成建設<1801>は売上高増でも利益率が悪化し営業利益は33%減で14円安。やはり官需は利幅が薄い上に、資材や人件費の値上がりに利益が圧迫されている。なお、両社とも通期の業績見通しは据え置いている。

 自動車はトヨタ<7203>が150円安、ホンダ<7267>が60円安、三菱自動車<7211>が60円安で年初来安値を更新するなど全滅状態。いすゞ自動車<7202>は前日に4~6月期決算を発表し、東南アジアでの販売が伸びて営業利益58%増で過去最高。売買高13位、売買代金8位と商いは多かったが54円安で値下がり率17位だった。7月に東証1部に新規上場したサントリー食品<2587>は「伊右衛門」が好調で営業利益26%増、純利益96%増だったが105円安。いすゞもサントリーも市場予測をクリアする好決算なのに下げた。そんな悪い地合いを象徴したのが個人投資家の人気銘柄ガンホー<3765>で、下落率は10%を超えていた。

 ストップ高比例配分の80円高で年初来高値を更新し値上がり率1位になった住友精化<4008>は、前日の決算発表で中間期、通期の業績見通しを上方修正して評価された。スマホ用コネクタ、カーナビ用タッチパネルを製造するSMK<6798>も決算発表で通期見通しの上方修正を好感されて以来7日続伸。この日も19円高で年初来高値を連日更新し値上がり率13位に入った。カカクコム<2371>は好決算を受けてSMBC日興証券が投資判断を引き上げ165円高で年初来高値を更新し値上がり率15位。全面安だとこんな銘柄がくっきり浮かび上がってくる。

 電力業界に話題が多い日で、原発の廃炉費用を電気料金に転嫁し特別損失の7割強を圧縮する会計制度の見直し案を経産省が検討中と報じられ、さらに福島第一原発の放射能汚染水対策に国費が投入されるニュースもあったが東京電力<9501>は9円安。中部電力<9502>は三菱商事<8058>からダイヤモンドパワーを買収して首都圏で売電事業に乗り出すと報じられたが31円安。しかしどちらも前場ではプラスの時間帯があった。

 この日の主役はダイキン。朝から全面安の中、大幅高で推移し終値は115円で日経平均を4円押し上げプラス寄与度トップだった。前日の決算発表は4~6月期の営業利益が前年同期比81.4%増益、経常利益が2倍、純利益が2.3倍で過去最高で、全て市場予測を上回った。アジアやヨーロッパで空調機器の販売が伸びたこと、円安で収益が改善したこと、昨年11月に買収したアメリカのグッドマン社が連結対象に加わったことなどが要因。この日は立秋とはいえ上海では連日40度にも達する猛暑が続きエアコンはまさに命にかかわる生活必需品で、景気減速懸念がある中国でも販売が約1割増えている。そこはコマツ<6301>や日立建機<6305>の建機やファナック<6954>の工作機械のような生産財にはない強みだろう。(編集担当:寺尾淳)