【日経平均】2日で797円上昇し14500円まであと34円

2013年08月02日 20:16

 NYダウは128ドルの大幅高で4日ぶりに反発し史上最高値を更新。中国の物流購入連合会のほうのPMIが50を割らず、逆に改善したことで「リスクオン」のスイッチが入り欧米の株式市場も上昇した。新規失業保険申請件数は改善し、ISM製造業景況指数も約2年ぶりの高水準で、雇用統計発表前の様子見で商いが薄いNY市場を刺激した。2日朝方の為替レートは、ドル円は99円台半ば、ユーロ円は131円台半ばで、吹っ切れたようにドル高・円安が進んでいた。

 日経平均は172.89円高の14178.66円で始まる。しばらくもたつき、前日の大引け直前の「弾丸登山」と朝のマド空けジャンプで〃電池切れ〃かと思いきや、午前9時40分頃から先物に買いが入ってエネルギーを補給し14200円台にしっかり乗せる。上海市場も香港市場もプラスで「危険な時間帯」は難なく通過するが、前場は若干円高方向に進んだ為替に頭を押さえられた。それでも後場にかけて14200円台を維持し午後2時前には14300円にタッチ。さらに2時40分すぎに14400円に乗せて、最後は460.39円高の14466.16円の高値引けで、3勝2敗で前週末と比べて336円上昇して今週の取引を終えた。TOPIXも+32.78の1196.17で高値引け。2日連続の大幅急伸、高値引けの「弾丸登山」では〃高山病〃で壊れないか心配になる。売買高は26億株、売買代金は2兆3170億円だった。

 値上がり銘柄は1586で約9割を占めたが石油・石炭が唯一マイナスのセクター。プラス上位は保険、倉庫、不動産、証券、輸送用機器、海運などで、下位は電気機器、医薬品、鉱業、精密機器、その他製品などだった。

 日経平均採用225種のマイナスは6銘柄だけ。前日同様にプラス寄与度の1~3位は「御三家」で、合わせて日経平均を104円押し上げた。ファーストリテイリング<9983>は1400円高で、ソフトバンク<9984>は230円高で売買代金トップになっていた。

 取引時間前に発表された日銀のマネタリーベースは38%増の170兆円で目標の270兆円に向けて順調に増加中。メガバンク3行は揃って上昇し野村HD<8604>も22円高だったが、異次元金融緩和のおかげで春相場の主役だった不動産株にも久々にスポットライトが当たる。三井不動産<8801>は105円高、三菱地所<8802>は76円高、住友不動産<8830>は大きく上げて210円高、ケネディクス<4321>は62円高で値上がり率5位。同ランキングでは9位にタカラレーベン<8897>、11位にサンフロンティア不動産<8934>が入っていた。アメリカの投資ファンドが浦安市舞浜の「シェラトングランデ・トーキョーベイ」を買収したニュースも不動産株の刺激になったようで、そのホテルのお隣のオリエンタルランド<4661>は230円高で連日、上場来高値を更新している。

 前日の大引け後に決算発表を行ったソニー<6758>は19円高。テレビ部門が12四半期、3年ぶりに黒字化し順調。14円高のシャープ<6753>は液晶部門の赤字が続くが、頼みの綱のIGZO液晶の生産稼働率は8割以上と好調。10円高のパナソニック<6752>は家電が悪いまま「自動車と住宅」にシフトを図るが前途多難。それでも円安やリストラや企業年金を確定給付型から確定拠出型に変えた効果などで3年ぶりの通期最終利益黒字化にメドが立っている。キヤノン<7751>は60円高で底を打って上昇した。

 今が真夏の書き入れ時のビール業界の1~6月中間期決算は、アサヒGHD<2502>の営業利益は「カルピス効果」で13%増でも経常利益は3%減。キリンHD<2503>は営業利益5.6%増だが通期の営業利益見通しを2.0%減益に下方修正。しかし両銘柄とも三菱UFJモルガンスタンレー証券が投資判断を引き上げたのでアサヒは142円高、キリンは35円高だった。サッポロHD<2501>は発表前だったが25円高と上昇した。

 好決算を発表しても株価が安くなる「アナリスト・コンセンサスの罠」のこの日の犠牲者は京セラ<6971>。太陽電池やスマホ向け電子部品が好調で4~6月期の営業利益は253億円の黒字転化で純利益は3.4倍の226億円だったが、アナリスト予想に届かず190円安で日経平均マイナス寄与度トップになった。ところが取引時間中に決算を発表した三菱商事<8058>は営業利益2.5倍はアナリスト予測より下、純利益15.3%増は上だったが、あら探しされることなく上げ幅を拡大し72円高。同じく三越伊勢丹HD<3099>は通期の営業利益見通しを22%上方修正してもアナリスト予測に届かなかったが後場上昇して75円高だった。つまり発表のタイミングと地合い次第で変わるということ。この日の地合いは前場マイナスだったクラレ<3405>やコマツ<6301>や日立<6501>を終値でプラスに押し上げるほど強かった。

 この日の主役は大手自動車株。アメリカの7月の新車販売台数が発表され、プラスが26ヵ月も続いてリーマンショック前の7年前の水準まで戻った。小型車だけでなく大型乗用車や高級車も売れていてポルシェの36.3%増が目をひく。17.3%伸びてフォードを抜き2位だったトヨタ<7203>は、大引け後に決算発表を控えていたが上昇し210円高。20.9%伸びたホンダ<7267>は105円高で2日間の下落分を取り返した。日産<7201>も10.9%伸びて32円高。各社とも北米での販売台数が増加し、新興国市場の減速分をカバーしている。北米市場で先行した富士重工<7270>は63円高、マツダ<7261>は17円高、日野<7205>は87円高、通期の純利益予想を24%上方修正したスズキ<7269>は141円高だった。(編集担当:寺尾淳)