【日経平均】米雇用統計で下落し夏枯れ極まって208円安

2013年08月05日 20:16

 前週末2日のNYダウは30ドル高。注目の雇用統計は、完全失業率は7.4%で前月から0.2ポイント改善したが、非農業部門雇用者数の増加数は前月の当初発表数から3.3万人減の16.2万人で市場予測の18万人前後を大きく割り込んだ。これで量的緩和の縮小開始時期は9月から先延ばしになるのが濃厚になった。NYダウは一時69ドル安まで落ち込むが、これで量的緩和が長く続くという思惑で終盤になって上昇した。経済指標では個人消費支出が好調。企業決算はシェブロンは悪かったがAIG、バイアコムは良かった。5日朝方の為替レートはドル円は98円台後半、ユーロ円は131円台前半で、前週末よりもドル安が進行していた。

 日経平均は147.95円安の14318.21円で今週の取引開始。アメリカの雇用統計と円高傾向に対して下落で反応した。終始マイナス圏だったが前場は14300円をはさんだ動きに終始して底堅く、後場も午後2時頃までは14300円台を維持していたが、2時30分をすぎるとドル円が円高方向に進んだのを受けてジリ安になり終値は208.12円安の14258.04円で3日ぶりに反落した。TOPIXは-11.43の1184.74。売買高は19億株、売買代金は1兆9264億円で、どちらも今年最低を記録し夏枯れがひどくなっている。

 日経平均が200円を超える下げでも値下がり銘柄1037に対して値上がり銘柄611と意外に多い。東証1部33業種別騰落率は繊維と倉庫がプラスで、マイナスが小さいのは水産・農林、電気機器、空運、サービスなど。マイナスが大きいのは保険、パルプ・紙、電気・ガス、鉱業、陸運、証券などだった。

 だが日経平均はプラスが30銘柄しかなく先物主体で売られたことを裏付ける。マイナス寄与度1~3位は「御三家」。その筆頭のファーストリテイリング<9983>は2日の大引け後に7月の販売統計を発表し、国内ユニクロ既存店売上高は5.5%増、客数は11.3%増と好調だったが、業績と関係なく株価が変動する銘柄の代表格ゆえ900円安、マイナス寄与度はトップで-36円。一方、プラス寄与度1、2位には「H2Bロケット打ち上げ成功」のご祝儀買いも入って47円高の三菱電機<6503>と、好決算で46円高のカシオ<6952>という、寄与度ランキングではフレッシュな顔ぶれが入っていた。

 メガバンク3行は揃って下落し証券株も悪かったが、東京都民銀行<8339>との経営統合が報じられた八千代銀行<8409>が265円の大幅高で値上がり率4位に。東京都民銀行も68円高で、株価の上では「江戸っ子地銀」同士のハッピーな縁談と言えそう。28円高のアイフル<8515>、17円高のオリコ<8585>のノンバンク勢は上昇した。為替の円高でマツダ<7261>が18円安で値下がり率15位に甘んじるなど自動車株が全般に低迷する中、クレディスイス証券が投資判断を引き上げたホンダ<7267>が10円高と健闘していた。電機では14円高のソニー<6758>、8円高の東芝<6502>が株価を上げていた。

 この日はいつもは地味な繊維株が買われて業種別騰落率トップ。ユニチカ<3103>が売買高11位で3円高、東洋紡<3101>が売買高15位で9円高、クラレ<3405>が9円高、旭化成<3407>がエチレンセンター集約のニュースを好感されて27円高になっていた。前週に大きく株価を上げた信越化学<4063>は利益確定売りに押されて110円安。1時30分に決算発表を行った三井倉庫<9302>は、9月中間期と通期の純利益の見通しを上方修正したのを好感されて23円高になっていた。

 スポーツ用品店チェーン「ヴィクトリア」を展開するゼビオ<8281>が180円高で値上がり率7位に入ったのは4~6月期14%経常増益の好決算とともに、世界水泳での瀬戸大也選手の金メダル効果か。しかしセントラルスポーツ<4801>は5円安、コナミスポーツを傘下に持つコナミ<9766>は57円安、ミズノ<8022>は8円安だった。もっとも、世界遺産になった富士登山の空前のブームを反映してヒマラヤ<7514>が95円高で年初来高値を更新し値上がり率11位に入っていた。

 この日の主役は売買代金ランキングのトップになったトヨタ<7203>。2日大引け後に4~6月期の決算発表を行い、売上高は13.7%増、営業利益は87.9%増でそれぞれ市場予測を上回ったが、想定為替レートをドル円90円を92円に改め、通期見通しの営業利益を1400億円上方修正して1兆9400億円としても、市場予測の2兆3600億円に4200億円届かなかった。当初70円高の場面もあったが振幅が大きく、午前9時30分をすぎると最後までマイナス圏から浮上できず結局70円安。通期見通しが市場予測を下回った上に相場の地合いが悪いと、時価総額最大で日本を代表するビッグネームでも株価をプラスにもっていくのは至難の業だったようだ。(編集担当:寺尾淳)