国土交通省は、自動車のご当地ナンバーに新たに、岩手県の「盛岡」と「平泉」、福島県の「郡山」、群馬県の「前橋」、埼玉県の「川口」と「越谷」、東京の「杉並」と「世田谷」、愛知県の「春日井」、鹿児島県の「奄美」の地域を追加すると発表した。奈良県から要望のあった「飛鳥」については、国土交通省が、ご当地ナンバーの設置の条件としている対象地域の登録自動車台数の10万台以上を満たしていないという理由で、導入を見送っている。
ご当地ナンバーとは、新たな地域名表示ナンバープレートの通称であり、新規の自動車検査登録事務所の設置によらずに独自の地名を定められるようにした制度のことである。これは、自動車のナンバープレートを使って地域振興を求める自治体からの要望を受けて設けられたもの。今回は、2006年度の導入に続く、第2回目であり、14年度中の実施が決定している。
今回、新たに導入が決まった、「世田谷」では、東京都世田谷区の一部区民が、世田谷ナンバーを認めないよう国土交通省に求める訴えを東京地裁に起こしている。原告側は訴状で「世田谷区は住民の約八割が賛成、としているが、アンケートの回答者の四割近くは免許を持たず、七割以上が六十歳以上の高齢者で偏りがある」と指摘している。また「現在の『品川』ナンバーから変われば住所が特定される恐れもある」などと主張している。
そもそもご当地ナンバーというのは、(地域の)ブランド化などを促す地域活性活動ではないだろうか。だからこそ、今まで、住民による反対運動というのは表立ったものもなかったし、ましてや提訴は始めてである。
訴状の中で、「現在の『品川』ナンバーから変われば住所が特定される恐れもある」とあるが、そもそもナンバープレートは、その自動車の使用の本拠を管轄する陸運事務所で受け付けられるものである。だからその「使用の本拠」である「地域」は特定されることもあろうが、『住所』が特定される恐れは、筆者はどう考えてもありえないと思うのだが。この論法でいくと、今回新たに導入が決まった「杉並」ナンバーも、同じように住所が特定される恐れがあることになるのだが、特に反対運動も訴訟もおきていない。どうしてだろうか。因に、現状では、杉並区は「練馬」ナンバー、世田谷区は「品川」ナンバーである。
ともあれ、このような問題が起きることによって、ご当地ナンバーの存在がより認知されていくことは良いことである。(編集担当:久保田雄城)