出遅れたアフリカ市場で漸く動き出した日本企業とは

2012年09月24日 11:00

 北米や西欧といった先進国・地域向け投資が全体の約7割を占める日本。一方で韓国は全体の5割超が、中国も香港を除けば、アジアや中南米、アフリカなどの新興国向けが大半を占めている。中でも日本企業によるアフリカ諸国への投資・進出は遅れており、近時になってようやくも動き出したようである。

 日本発唯一の国際クレジットカードブランド運営主体であるJCBの海外業務を行う子会社、ジェーシービー・インターナショナル(JCBI)が、ケニアの大手商業銀行であるエクイティ銀行と、東アフリカの5ヵ国(ケニア共和国、ウガンダ共和国、南スーダン共和国、ルワンダ共和国、タンザニア連合共和国)における加盟店・ATMでのJCBカードの取り扱い業務に関するライセンス契約を締結。現在、ケニアにおけるJCB加盟店網は一部の観光地に限られているものの、今回の提携により、合計5000店でJCBカードが使えるようになる。

 医用電子機器メーカの日本光電工業は、これまで地域代理店を通じて販売活動を行い、現地の中東駐在員事務所がこれをサポートしてきた中東・アフリカ地域における売上拡大を図るため、100%出資の子会社、日本光電ミドルイーストを設立。拠点はドバイ(UAE)となるが、アフリカ地域への足がかりとなる拠点を固めた形である。

 プライスウォーターハウスクーパースは資源エネルギー庁の業務委託を受け、主に南部アフリカ4カ国(モザンビーク、マラウィ、ザンビア、ジンバブエ)において、レアメタル(希少金属)鉱山開発をパッケージとして盛り込んだ、日本のインフラ・システムの輸出促進に向けた可能性調査・分析を、2012年1月から3月にかけて現地で実施。結果、既にインフラに関するプロジェクトが他国の援助や支援によって実施されているため、より効果的かつ差別化された支援が必要であることなどが確認されたという。

 アフリカ、特に南部アフリカ地域は中国やロシアに次ぐレアメタル埋蔵地域と見られており、今後さらに重要度は上昇する。他国よりも出遅れている分、日本企業がどういった施策で挽回を図るのか、注目が集まるところであろう。