「消費者庁」や「消費者安全調査委員会」を名乗り、投資の勧誘などを行う怪しげな電話が増えている。以前に詐欺被害に遭った人をターゲットにした悪質な例もあり、同庁では注意を呼びかけている。
同庁の「消費者安全調査委員会」を名乗って投資を勧誘する例や、消費者を信用させるために消費者庁に確認することを勧め、連絡先としてフリーダイヤルの番号を伝える例が一般的なようだ。
ある60歳代の男性は、とある事業者を名乗る者から「金」を特別に割引した価格で購入できるとの話を持ちかけられ、別の事業者の口座に金額を振り込んだ。ところがいつまでたっても金が送られてこないため心配になり、最初に購入の話を持ちかけた会社に確認したところ、「消費者庁」の「消費者安全調査委員会」のフリーダイヤルの番号を教えられたという。
その番号に連絡したところ、男性に金を販売した会社は今も取引しており問題ないと言われ、信用してしまった。しかしその後も購入した金が届かなかったため、男性は弁護士事務所に相談しているという。このケースでは、不安になった被害者に対して「消費者庁」の名を出すことで、一時的に安心させる悪質な手口が使われている。
また別のケースでは、以前に詐欺被害に遭った消費者のもとに「消費者安全調査委員会」職員を名乗る者から、ある事業者について「信用できる会社」だと電話があり、直後にその会社から「以前の詐欺被害の回復を無料で行う代わりに、投資を行わないか」との電話があった。その消費者は幸いにも被害に遭わずにすんだが、以前に詐欺被害に遭った人たちの名前は「ブラックリスト」入りしている可能性もあるため、今後も似たような被害が増えるおそれがある。
消費者庁や消費者安全調査委員会では、フリーダイヤルは使用していない。また、個別の取引や会社の信頼性を説明したり、確認したりすることも一切ないという。同庁では注意を呼びかけているが、「オレオレ詐欺」ならぬ「オレは消費者庁詐欺(?)」の増加が危ぶまれる。(編集担当:北条かや)