【今週の振り返り】人の名前が出れば市場が反応し362円下落した週

2013年12月07日 20:12

0205_002

黒田日銀総裁、R・シラー教授、ボルカー元FRB議長、ドラギECB総裁に伊藤隆敏教授の名前が出れば市場が反応した週となった。

 前週末11月29日のNYダウは10ドル安で6日ぶり反落。感謝祭明けの「ブラックフライデー」は午後1時までの短縮取引で閑散とする中、クリスマス商戦期待が高まる小売のベストバイ、アマゾンドットコム、イーベイが買いを集めるなど一時16174ドルまで上昇したが、終盤に利益確定売りで急落しマイナスで終えた。12月2日朝方の為替レートはドル円102円台半ば、ユーロ円139円台前半で、前週からの円安基調を維持していた。

 日経平均は2.13円安の15659.74円で始まり、午前9時台はおおむねプラスだったが、10時を回るとドル円が25銭ほど円高に振れてマイナス圏に下がる。一時は15600円を割り込んだが、それ以外の時間帯は15640円近辺の小動きで推移した。後場は午後1時すぎ一段安になり15600円をはさむ一進一退の展開が続いたが、2時すぎに日銀の黒田東彦総裁の名古屋での記者会見の速報が入ると日経平均は上昇開始。「日本経済は2%の物価安定の目標に向けた道筋を順調にたどっている」と自信を示しながら、消費増税時などに「上下双方向のリスクが顕在化すれば躊躇なく調整する」と追加緩和にも含みを持たせる発言内容だった。

 15600円割れの水準から下げ幅を圧縮し、TOPIXを露払いに2時48分には日経平均もプラスに浮上するが、大引け前に下押しされ結局6.80円安の15655.07円で終え、最後まで高値警戒感に頭をおさえられた1日だった。TOPIXは+0.28の1258.94でプラス。売買高は23億株、売買代金は1兆8806億円で夜のアメリカのISM製造業景況感指数の発表を控えた様子見で2兆円を割り込んだ。

 東証1部33業種別騰落率の上昇業種上位は電気・ガス、保険、医薬品、空運、サービス、繊維など。下落業種下位は石油・石炭、不動産、陸運、金属製品、卸売、非鉄金属などだった。

 2日「サイバーマンデー」のNYダウは77ドル安。ISM製造業景況感指数は57.3で前月比0.9ポイントの上昇で市場予想を大きく上回り、正午すぎは16100ドル超えのプラス圏だった。しかし、ネット通販は好調でも百貨店などリアル店舗のクリスマス商戦の出足伸び悩みが判明し、今年のノーベル賞を受賞したシラー教授が「経済は依然脆弱なのに株価の過熱を懸念している」と述べ、さらに3Mの株価急落にも引きずられて午後はズルズル下げて一時16000ドルを割り込み、取引終了直前にかろうじて大台キープ。インフレ率2%の目標達成に自信をのぞかせつつ追加緩和の可能性も匂わせるという絶妙な話芸を発揮した前日の黒田日銀総裁の発言が功を奏し、ロンドン時間にドル円は5月以来の103円台にタッチ。3日朝方の為替レートはドル円は103円近辺、ユーロ円は139円台前半だった。

 円安を織り込んで日経平均は92.47円高の15747.54円で始まる。10分ほどで15700円を割り込むが、それでもマイナスにならずに折り返し午前9時30分までに15700円台を回復した。10時前に15750円にタッチし、ドル円が103円台に戻ると10時17分に15779円まで上昇。その後も15700円台を堅持したままに前引けになった。後場は15700円台半ばの水準での高値もみあいが続く。ドル円103円30銭台まで円安が進み、午後1時29分には15800円まであと6円の15794円まで上昇した。その後は15750~15770円の小動きだったが大引け間際に20円ほど下げ、終値は94.59円高の15749.66円。日経平均は3日ぶりに反発し終値ベースの年初来高値を更新し、TOPIXは+3.60の1262.54と続伸した。売買高は26億株、売買代金は2兆4158億円で、感謝祭休暇明けの海外勢も復帰して大台に乗せた。

 業種別騰落率の上昇セクター上位はパルプ・紙、ゴム製品、情報・通信、保険、医薬品、水産・農林など。下落セクター下位は電気・ガス、空運、不動産、海運、その他金融、非鉄金属などだった。

 3日のNYダウは94ドル安で3日続落し16000ドルの大台を割り込んだ。11月の新車販売台数が悪くなくてもフォードやGMが売られるようでは、8週連続で上昇したNYダウもトレンド転換の年貢の納め時か。6日の雇用統計が悪くなければ17~18日のFOMCで量的緩和縮小が始まるという見方が日々有力になっている上に、金融機関の自己勘定での投機的取引を禁止しヘッジファンドにも影響が及ぶ「ボルカールール」まで忘れた頃にいきなり飛び出した。最終案が10日に採決されるという。4日朝方の為替レートは、ドル円は102円台前半、ユーロ円は140円タッチ後に折り返して139円近辺で、どちらも前日比で円高が大きく進んでいた。

 日経平均は229.46円安の15520.20円で始まる。ドル円が102円50銭を上回ったこともあり午前9時台は小動きが続いたが、それも「嵐の前の静けさ」。10時になると風向きが一変し、日経平均は15500円を割り込み、たちまち15400円も割って、10時33分の15326円まで30分余りで250円近い急落を喫した。その間のドル円の円高進行は20銭程度で、いきなり前倒しになった金融規制強化を懸念して海外のヘッジファンドが高値圏の日本株から投資資金の引き揚げを始めて、「ボルカールール暴落」が起きたという見方がもっぱらだった。

 嵐が過ぎると前場は15300円台後半で推移した後、15400円台に戻して前引けは15426円。ドル円が再び102円50銭を超え、後場も15400円台を堅持して波乱もなく過ぎていたが、午後2時台には少し下げて15400円を割り込む時間も出る。それでも終盤に少し値を戻していたおかげで大引けでは15400円台を堅持し、終値は341.72円安の15407.94円。日中値幅は253円もあった。TOPIXは-21.55の1240.99。売買高は25億株、売買代金は2兆3876億円だった。

 プラスのセクターは鉱業1業種のみ。マイナスのセクターで下げ幅が小さかったのは鉄鋼、電気・ガス、小売、空運、陸運など。下げ幅が大きかったのは保険、証券、その他金融、パルプ・紙、その他製品、ガラス・土石などだった。