【日経平均】黒田発言でプラスまで浮上しても結局6円安

2013年12月02日 20:16

 前週末11月29日のNYダウは10ドル安で6日ぶり反落。感謝祭明けの「ブラックフライデー」は午後1時までの短縮取引で閑散とする中、クリスマス商戦期待が高まる小売のベストバイ、アマゾンドットコム、イーベイが買いを集めるなど一時16174ドルまで上昇したが、終盤に利益確定売りで急落しマイナスで終えた。前週のNYダウは4日間とも高値警戒感でマイナスまで急落する時間帯があり、トレンドの節目にさしかかっているのかもしれない。12月2日朝方の為替レートはドル円102円台半ば、ユーロ円139円台前半で、前週からの円安基調を維持していた。

 取引時間前に発表された法人企業統計は7~9月の設備投資は前年同期比1.5%増で2四半期連続プラス。日経平均は2.13円安の15659.74円で始まり、午前9時台はおおむねプラスだったが、10時を回るとドル円が25銭ほど円高に振れてマイナス圏に下がる。一時は15600円を割り込んだが、それ以外の時間帯は15640円近辺の小動きで推移した。

 後場は午後1時すぎ一段安になり15600円をはさむ一進一退の展開が続いたが、2時すぎに日銀の黒田東彦総裁の名古屋での記者会見の速報が入ると日経平均は上昇開始。「日本経済は2%の物価安定の目標に向けた道筋を順調にたどっている」と自信を示しながら、消費増税時などに「上下双方向のリスクが顕在化すれば躊躇なく調整する」と追加緩和にも含みを持たせる発言内容だった。

 15600円割れの水準から下げ幅を圧縮し、TOPIXを露払いに2時48分には日経平均もプラスに浮上するが、大引け前に下押しされ結局6.80円安の15655.07円で終え、最後まで高値警戒感に頭をおさえられた1日だった。TOPIXは+0.28の1258.94でプラス。売買高は23億株、売買代金は1兆8806億円で夜のアメリカのISM製造業景況感指数の発表を控えた様子見で2兆円を割り込んだ。

 値上がり銘柄は929と半数を超え、値下がり銘柄は663。東証1部33業種別騰落率は17対16で上昇業種が優勢で、その上位は電気・ガス、保険、医薬品、空運、サービス、繊維など。下落業種下位は石油・石炭、不動産、陸運、金属製品、卸売、非鉄金属などだった。

 日経平均採用225種は上昇94銘柄、下落112銘柄。プラス寄与度上位は1位がファーストリテイリング<9983>で+5円、2位が日東電工<6988>で+4円。マイナス寄与度上位は1位がKDDI<9433>で-3円、2位がファナック<6954>とダイキン<6367>で-2円だった。

 メガバンク3行は揃って上昇。証券ではSBIHD<8473>が137円高で値上がり率7位、売買高10位、売買代金6位と買われたが、野村HD<8604>は、野村證券が前週末、若手社員の月給を2%程度引き上げると発表しても4円安。1日から始まった新卒者の採用活動を有利にしたい思惑がありそうだが、そんなまきエサで将来の大物が釣れるのか。選考エントリー時に受験料2525円を徴収して話題のドワンゴ<3715>は売買代金14位の134円高と買われた。かつてミサワホーム<1722>がやっていた手だが、「記念受験」で応募が殺到してもありがた迷惑か。

 自動車関連はトヨタ<7203>の株価にエンジンがかからず10円安、ホンダ<7267>も25円安だったが、この日はマツダ<7261>がクレディスイス証券によるレーティング、目標株価の引き上げがあり11円高、売買高3位、売買代金1位と快走。電機では「PS4」の販売台数が3月末までに500万台強という強気の見通しを示したソニー<6758>が31円高。14円高のシャープ<6753>は売買高1位、売買代金2位と活発な商いが続く。情報通信事業の海外M&Aに年間500億円を使うと発表した日立<6501>は3円高で売買高5位、売買代金4位に入った。

 グラクソ・スミスクラインから47歳のクリストフ・ウェバー氏を新社長兼COOに迎え、「新しい上司はフランス人」の武田薬品<4502>は明日があるのか55円高で売買代金15位。5月23日以来の株価5000円台に乗せた。野村證券が後発医薬品市場のレポートで注目株に挙げた日本化薬<4272>が20円高、塩野義製薬<4507>が45円高、アステラス製薬<4503>が40円高、中外製薬<4519>が31円高、三郷工場を売却するリストラ策を発表したエーザイ<4523>も25円高と医薬品は好調で業種別騰落率3位。花王<4452>はモルガンスタンレーが目標株価を引き上げて55円高になっていた。

 主力株が上がらない日はテーマ株が買われる。LINE向けゲームの提供開始を正式発表して火がついたのがマーベラスAQL<7844>で、ストップ高比例配分の150円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。同じくLINE関連銘柄のマザーズのアドウェイズ<2489>もストップ高で372円高。セガサミーHD<6460>は、カジノ関連法案の国会提出の話題にスマホゲームで中国の大手と提携したニュース、さらにゴールドマンサックス証券がレーティング、目標株価を引き上げたことも加わり152円の大幅高。前週に株価が1974円から3375円まで上昇して話題のミクシィ<2121>は700円高で年初来高値を更新し4日で株価が2倍以上になる急騰ぶり。忘年会シーズンの12月は書き入れ時のぐるなび<2440>はいちよし経研が新規に好レーティングをつけ、448円高で年初来高値を更新し値上がり率2位に入っていた。

 29日に東証マザーズに新規上場して初値がつかなかったアライドアーキテクツ<6081>は、10時19分に公開価格1700円の約3.3倍の5600円の初値がついた。

 この日の主役は日経平均が低迷すると「幕間つなぎ」で買われる低位株。300円以下の銘柄が売買高ランキング20位以内に7銘柄も入った。クリスマスが近いせいなのか靴下のナイガイ<8013>は23円高、終値169円で年初来高値を更新し値上がり率4位、売買高2位。売買代金でも9位と大人気。靴下には入らないマネーゲームのおもちゃの2ケタ銘柄もユニチカ<3103>が売買高7位、キムラタン<8107>が売買高10位、井筒屋<8260>が値上がり率13位にランクイン。東証2部の売買高ランキングをのぞくと、1~5位が全て株価1ケタ、2ケタ銘柄で占められるという〃怪記録〃を樹立していた。(編集担当:寺尾淳)