各社独自の施策を見せる外食産業とは

2012年09月10日 11:00

 富士経済の調査によると、ステーキ・ハンバーグ系の2011年実績が前年比15%増の1783億円、12年見込は同7%増の1905億円と好調なファミリーレストランを除き、喫茶市場や西洋料理・日本料理・エスニック料理などの多くの市場で微減・縮小が見られる外食産業。こうした環境下、大手の外食チェーンなどでは事業の維持・拡大のための活動が活発化してきている。

 コロワイドは、「炭火焼肉酒家 牛角」や「しゃぶしゃぶ 温野菜」「土間土間」「かまどか」などを展開するレックス・ホールディングスの株式を取得し子会社化。自社競合を回避しつつ複数店舗を同一エリア・ビルに出店し集客力の相乗効果や物流の効率化・物件確保における優位性を獲得したり、ある立地に置いて集客力の落ちた業態を自社の他業態に転換することで店舗閉鎖を回避しつつ小額の投資で集客力の回復を図る「ドミナント出店戦略」を加速させている。

 またアスラポートは、東京フード・大阪フード・キタムラ・ぼてぢゅう外食産業事業協同組合などからなる「ぼてぢゅう」グループとの業務提携を発表。今年2月にたこ焼等の「たこばやし」「うまいもんや」の事業を獲得し、これまでのディナー中心の業態だけでなく昼の需要も取り込める業態をグループ内に持つことで事業拡大を図っていたアスラポート。今回、業態の近いお好み焼を中心に国内、海外で83店舗を運営している外食企業グループと業務提携することで、メニュー(レシピ)の相互共有、原材料の共同購入、国内外の出店協力等を行うこと等を通じて更なるブランド価値の向上・事業拡大を図っている。

 一方、トリドールの目はもっぱら海外に向いている。7月2日に台湾とオーストラリアに同社100%出資によるセルフうどん事業の子会社設立を発表。同月末には韓国にも現地法人の設立を発表している。さらに8月には、中国本土での急速な店舗網拡大を目的に、同国での店舗開発・運営を行っている香港子会社の事業を現地有力者との合弁事業化することを決定。2015年3月末までに中国100店舗展開を目指すと言う

 生レバーの規制に続き、食肉検査の免除と輸入を認める牛の月齢が現行の「20カ月以下」から「30カ月以下」に緩和される見通しであるなど、外食産業を巡る動向はめまぐるしく変化している。また長期的にみれば、少子高齢化等の影響により、市場の縮小は不可避であろう。こうした環境下で各企業はどういった施策を講じるのか。今後も注目を集めそうである。