今期、レクサス・ブランドのハイライトは基本的なボディ骨格を作る技術にあった。新型から採用したレーザースクリューウェルディングと構造用接着剤いう技術が新型レクサスISに採用されてISの走行性能が格段にアップしたのだ。
レーザースクリューウェルディングとは、遠方からレーザーを照射して従来のスポット溶接でモノコックを作るのに比べ溶接打点間ピッチを狭くする溶接技術。モノコックの結合で強化したい部分に溶接ポイントを集中配置することができる。ボディ骨格をガッシリと作るという意味で、手間が掛かる工法だが、効果が期待できるテクニックだ。
一方、構造用接着剤は、従来スポット溶接が点でモノコック鋼板を繋いでいく工法に対して、面でボディを接着剤で繋ぐ工法。レクサスの最上級セダンのLSから使い始めた工法で、今回からISにも採用した。ISの構造用接着剤は延べ25m以上の接着に使われたという。この工法は、レーザー溶接のような特別な設備を必要としない点でもポイントが高い。
このふたつの新しい技術の採用で、以前に比べて比較にならないほどISのボディ剛性を上げ、運動性能のアップと卓越したハンドリングが得られた。これによって、欧州車と戦ううえで長年の懸案だったボディ剛性アップについて、「トヨタ流の最適解を示した」という高い評価が与えられた。
2013年、レクサスは派手で際立ったモデルのデビューや話題はなかったが、自動車の製造で基本である“ボディをしっかり作る”ということを突き詰めて、結果を残した。「クルマのあるべき姿を突き詰めて、間違いなく良いクルマができるコトを示した」といえる。(編集担当:吉田恒)