プラットフォーム市場、ますます活発化するか

2012年12月19日 07:15

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ソーシャルゲーム市場に参入したNTTドコモ。その狙いはどこにあるのだろうか?

 ソーシャルゲーム市場に参入したNTTドコモ。その狙いはどこにあるのだろうか。他にも「LINE」をプラットフォームへと進化させたNHN Japanなど、ソーシャルゲーム市場に新たな勢力の動きが活発化する背景を探ってみた。

 12月13日に提供を開始したNTTドコモの「dゲーム」。ついにプラットフォーマーとしてこの市場に進出した。キャリア側の参戦ということもあり、グリーや「モバゲー」のDeNAという売上上位の2社も警戒を強めると思われる中、NTTドコモはプラットフォームの提供について、「dマーケット」の拡充を強調した形で発表をしていた。「dゲーム」では当初、バンダイナムコゲームスやコナミデジタルエンタテインメイントの大手からD2Cと言った2000年誕生の新しいコンテンツホルダーなどから11タイトル(12月下旬にはさらに4タイトルがリリース予定)が提供される。ドコモユーザーだけではなく、他キャリアの利用も可能というオープンな体制を取っており、手軽さが好評ではあるものの、そこには同社の苦しい状況も見え隠れする。

 「iPhone」がソフトバンク、au(KDDIの2社から販売され、その圧倒的だったユーザー数も永遠とは言えない状況になってきているNTTドコモ。通話料などの料金体系も、激しいライバルからの追い上げに、苦しさを覗かせている中で、次なる売上げとして同社が目を付けたのがプラットフォームとしてのポジションだ。中でもソーシャルゲームの売上は、大きく業績を伸ばしている大手のプラットフォーマーを見れば、魅力を感じるのは当然と言える。「コンプガチャ」問題で社会の厳しい目に晒されているこの時期に、敢えて参入する覚悟は立派だが、健全化対策でよほど世間が納得をしなければ、例えドコモと言え、槍玉に挙げられる可能性は否定できない。

 また、一方では、スタンプなどを取り入れ、手軽なコミュニケーションを楽しめる「LINE」を今年大ヒットさせたNHN Japanもソーシャルゲーム市場に巧みにアプローチを開始している。トーク(チャット)をメール的な感覚で使用することから、SNSとは明らかに性質が違うものとなっている。だから、プラットフォーマー化を進めているものの、タイムライン機能を積極的に使用するユーザーはごくわずかであり、ソーシャルゲームも疑問視をする声が多かった。だが、「LINE POP」というパズルゲームはリアルな友だちとゲームを共有し競うことができることから、ダウンロード数を伸ばしている。この手軽さがソーシャルゲーム市場において、後発でも戦えるということを同社は証明した。そして何と言っても「LINE」ユーザーは国内で3,600万人、世界で8,000万人というユーザーを持っており、この部分は他のプラットフォーマーにとっては驚異であることは間違いない。

 ソーシャルゲームで売上を伸ばしてきたDeNAやグリーが「LINE」の成功で、今度はインスタントメッセンジャーの市場に乗り込むという動きも活発になり、お互いの得意分野の市場が大荒れになっても、“今動く”という流れは止まらない。プラットフォーマーは“ゲーム”“インスタントメッセンジャー”など様々なジャンルを全て勝ち取らなければ、動くことをやめることはなさそうだ。(編集担当:加藤隆文)