2015年卒の採用活動が始まって1ヶ月が経った。景況感の回復を受け、学生にとっては「売り手市場」となる可能性も高い。
一方で多くの採用担当者は、15年卒の採用活動が「前年よりも苦戦する」と考えていることが、人材採用コンサルティングの株式会社ジョブウェブによる調査で分かった。大手を中心に採用人数が増え、中小企業では人材確保が難しくなること、また「学生の質の二極化」を懸念する声が目立つ。
調査は昨年11月下旬~12月上旬にかけ、15年卒の新卒採用活動を行う企業の採用担当者を対象に実施。110社から回答があった。
採用計画については「前年とほぼ同様」が50%、「前年より上回る」が38%。採用基準は「前年とほぼ同様」が84%を占め、「前年より上げる」と回答した企業が15%、「前年より下げる」と答えた企業は1社もなかった。企業が学生の質を重視する姿勢は変わっていないようだ。
採用活動の見通しについては、約8割の企業が「前年よりも苦戦する」と回答(※注)。採用に苦戦すると予想する担当者は、前年より22.9ポイントも増加した。理由として目立つのが「大手の採用人数増加」と「学生の質の二極化」だ。
ある商社の採用担当は、景気回復で「優秀な学生の確保競争が激化する」とコメント。またメーカーの担当者は「学生の大手志向が強まる」、サービス業の担当者は「売り手市場のため内定者管理が前年より厳しくなっている」とコメントした。さらに「学生の質が二極化している中、採用予定人数は増えているのに採用基準は落とせない」ことを苦戦の理由にあげる企業もあった。
売り手市場の15年卒だが、企業の採用基準は変わらない。それどころか一部では成績重視の傾向も強まるなど、複雑化、高度化の傾向もみられる。多くの企業は優秀な学生の確保をめぐって激しい競争を繰り広げるだろう。目ぼしい学生を早くから囲い込んだり、採用計画をクリアするのに苦労したりする人事担当者が増えそうだ。(編集担当:北条かや)
(※注:「前年よりも苦戦する」と「前年よりも若干苦戦する」の合計)