先般の東京オートサロンで登壇して集まったプレスを驚かせたトヨタ自動車の社長・豊田章男氏は、そこで次のように語っていた。
「10年単位のタームで、トヨタはスポーツカーの可能性を追求するモデルを発表する。そこには、新しい技術の開発だけでなく、設計開発者の技術の伝承も含めて意味のあることだ」と。つまり、一昨年のレクサスLFAに次いで2020年前後を目処に新型スポーツカーをトヨタが発売するということだ。
そんな豊田社長の言葉を裏付けるように、1月18日から一般公開された「北米国際自動車ショー2014」のトヨタ・ブースには、真紅のスポーツカーが展示された。スポーツスタディ・モデル「トヨタFT-1」である。よりエモーショナルで、トヨタ・ファンをワクワクドキドキさせるスポーツカーデザインを探求、その可能性を示すためにデザインしたクーペのスタディモデルである。
デザインは、創設40周年を迎えた米国トヨタのデザイン拠点「Calty Design Research, Inc.」が担当した。かつての名車「トヨタ200GT」を思わせる“ロングノーズ・ショートデッキ”という最近のスーパースポーツのトレンドを巧みに取り込んで具現化したデザインコンセプトだ。
エクステリアは、全体的に曲線の美しさを強調しながらスポーツカーの力強さを感じさせる造形だ。コックピットを大胆に後方配置し、FR(フロントエンジン・リアドライブ)方式を採用。前後重量配分の適正化を図ったという。ある意味クラシックで普遍的なスポーツカースタイルだが、大胆な吸排気口や可変リアスポイラーなどで最新空力特性を備えている。加えて、グリーンハウスを構成するサイドガラスのグラフィックは「トヨタ 2000GT」を彷彿とさせる。
インテリアはスポーツカーらしい機能的なコックピットだ。ドライバーが運転に集中できるようデザインし、フォーミュラーカーを思わせる異形ステアリングホイールやメーター類はスポーツカーとしてのポテンシャルを表現している。コーナーリング時のドライバー視界を十分に確保する目的でAピラーを可能な限り後方配置。運転中の重要インフォメーションをステアリングホイールの真上に表示させドライバーの視線の動きを最小化して操作性を向上させた。
車両ディメンションや搭載エンジン、トランスミッションやタイヤサイズなどの主要諸元は、まったくアナウンスされていないが、各地で開催されるモーターショーに今後出品される度にブラッシュアップされ、具体的な情報が明らかにされるだろう。筆者の予想では、パワーユニットはハイブリッドが決定的だと思う。日本国内のレースでプリウスGTなどが実験している「スポーツハイブリッド」となるだろう。(編集担当:吉田恒)