新型トヨタ・ノア&ヴォクシーが、2リッタークラス5ナンバー・ミニバンのトップゾーンを狙って登場した。このセグメントでトヨタは、日産セレナの圧倒的な首位を許し、さらにホンダ・ステップワゴンの後塵を拝してきた。こんな状況を打開するための新型投入である。
モデル概要は昨年の東京モーターショーでサンプルカーを展示していたので、多くのミニバンファンが確認したはずだ。完全にこのクラスの国産(しか無い)ミニバンの“いいとこ取り”、完全網羅ミニバンである。カッコさえ気に入るのなら「買って損の無い」トヨタ製ミニバンだ、と思う。かつて“80点主義”と自ら語っていたトヨタだが、この新型、まだ触っていないが、ミニバンとして90点(マイナス10点は、運転していないのとミニバンをクルマと認めていない人もいるので……)くらいあげられるのではなかろうか?
まずニュースは、本格的なハイブリッド車のラインアップ。このモデルだけは2月末の発売だが、リダクション機構付きのハイブリッドが載った。いわく、「プリウスのハイブリッドシステムを利用して、駆動用ニッケル水素バッテリーをフロントシート下に収めた」のがポイントだ。その代わりに、運転席であっても電動調節機構は備わらない。この辺り、エスティマなどはパワーシートとトレードオフにバッテリーをセンターコンソールに収納して、左右のウォークスルーを諦めた構造と異なっている。
ハイブリッド車のパワーユニットは、1.8リッター4気筒エンジンの出力&トルク99ps(73kW)/14.5kg.m(142Nm)を82ps(60kW)/21.1kg.m(207Nm)のモーターがアシストする。システム統合出力はトヨタ発表で136ps(100kW)とされている。これによる、ノア&ヴォクシーのHV車のJC08燃費は23.8km/リッター、CO2排出量は98g/kmを達成している。
ふたつ目のニュースはホンダも驚く「低床設計」だ。ダッシュパネルより後方のボディ骨格を一新し、革新的な低床フラットフロアの採用。クラストップレベルの広々とした室内空間、低くステップのない乗り込み実現した。まさに、ステップワゴンのキャッチコピーのような文言が並ぶ。ただし、3rdシートは「乗り心地を重視して」従来どおりの両跳ね上げ式チップアップ収納としクッション厚を確保した。この辺り、ホンダやマツダの簡単収納3列目シートと評価が分かれそうなところである。
さて、新型ノア&ヴォクシー、ハイブリッド車の価格は285.0-297.0万円、2リッター・ガソリン車221.0-281.1万円だ。果たして、日産セレナの牙城を切り崩すことが出来るのか? はたまた、秋に登場するホンダ・ステップワゴンに返り討ちとされるのか? 5ナンバー・ミニバン、取り敢えず「春の陣」である。(編集担当:吉田恒)