自身のセダン・ユーザーを裏切り続けたHonda。その復権はあるか

2014年01月16日 14:45

2015 Acura TLX Prototype Introduced at 2014 NAIAS

米ミシガン州・デトロイトで開催された「2014年北米国際自動車ショー」でHondaはその高級車ブランド「アキュラ」の新型セダン「TLXプロトタイプ」(日本ではレジェンドに該当)を発表した。

 ホンダは現在、自動車メーカーとして日本国内で、セダンをただ一車種だけをラインアップするメーカーだ。これは世界的に見ても非常に稀な例である。かつては、シビック、インテグラ、アコード、インスパイア、レジェンドという5本柱セダンと多数の兄弟車&派生車種がショールームを飾っていた。

 が、しかし、昨年アコード・ハイブリッドが登場するまで、国内のホンダ車ラインアップにはセダンという車型そのものが存在しなかった。日本でナンバー2・3位を争う自動車メーカーとして、そのラインアップは、かなり歪んだものといえる。2000年代のHONDA-F1参戦では、「ミニバンメーカーが走らせるフォーミュラー・ワン」などと揶揄もされた。

 2014年1月13日、米ミシガン州・デトロイトで開催された「2014年北米国際自動車ショー」(通称:デトロイト・ショー)で米Hondaはその高級車ブランド「アキュラ」の新型セダン「TLXプロトタイプ」をワールドプレミアした。

 TLXプロトは、現在米国で販売している「TL」「TSX」に代わるミッドサイズのラグジュアリーセダンとして紹介された。「TL」「TSX」は日本では市場から早々に撤退した旧レジェンド、旧アコードにあたる車種である。アメリカではHonda高級セダンが堅調なのである(というか、「アメリカ向けに作るHondaセダンが日本ではまったく見向きもされなかっただけ」という意見もある)。

 TLXのパワーユニットは、新開発の2.4リッター直列4気筒DOHC直噴i-VTECエンジンと、「MDX」などに搭載している3.5リッター V型6気筒OHC直噴 i-VTECエンジンを採用。トランスミッションは、2.4リッター車には新開発のトルクコンバーター付き8速DCT(所謂、マニュアルベースのデュアルクラッチ式2ペダルミッション)を、3.5リッター車には9速オートマチックトランスミッションをそれぞれ組み合わせ、高出力と低燃費を両立したという。

 ニュースは3.5リッター車の新世代の四輪駆動力自在制御システム(SH-AWD/Super Handling All Wheel Drive)を搭載したモデルだ。これは、日本の旧レジェンドに搭載して絶賛された駆動方式で、新型では25%軽量化に成功したという。また、低速追従機能付きアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)やレーンキープアシストシステム(LKAS)などの先進安全装備も網羅する。

 今回、デトロイト・ショーでプロトタイプのサイズなど諸元は発表されていないが、日本発売する新型レジェンドはボディ&シャシー(プラットフォーム)だけを共用するだけとなりそう。パワートレーンはNSXコンセプトで発表している3モーター・ハイブリッドシステム「Sport Hybrid SH-AWD(Super Handling All Wheel Drive)」、つまり3.5リッター V型6気筒直噴エンジンを3つのモーターがアシストし、DCT(デュアルクラッチ式2ペダルミッション)を組み合わせたクルマとなるようだ。

 ホンダはこれまで自身のセダン・ユーザーを裏切り続けてきた。旧レジェンドや旧アコード・ユーザーが「購入すべきホンダ車が無い」状況で、ディーラーはレジェンド・ユーザーに最上級ミニバン「エリシオン」を売り、アコード・ユーザーには「オデッセイ」を勧めた。だが、そんな無理が通じる道理は無い。当然、顧客は去って行った。

 果たして、昨年のアコードHVと今年デビューするレジェンドHVで、ホンダ製セダン復権はなるか?(編集担当:吉田恒)